主体的な鑑賞をするための秘訣はアウトプット — SNS時代の美術館 鑑賞する側が主役になる(その2)
ちいさな美術館の学芸員 『忙しい人のための美術館の歩き方』より

Reading Journal 2nd

『忙しい人のための美術館の歩き方』 ちいさな美術館の学芸員 著
 [Reading Journal 2nd:読書日誌]

第4章 SNS時代の美術館 鑑賞する側が主役になる 2 主体的な鑑賞をするための秘訣はアウトプット

今日のところは「主体的な鑑賞をするための秘訣はアウトプット」である。ここでは、美術鑑賞を実りあるものにするための方法について著者自身の体験をもとに、考察している。それは、体験を経験に変えることであり、とくに美術鑑賞の経験をSNS等にアウトプットすることが大切である。それでは、読み始めよう。

体験を経験に変える

実りある鑑賞にするために必要なのは、体験を経験に変えることです。(抜粋)

ここでいう「体験」とは、文字どおり自分の体で感じたことである。そして「経験」とは、その体験の中で消えずに残り、自分の引き出しなっているものである。体験を積み重ねているうちにそれが経験に変わる。それを重ねていくうちに誰とも違う自分になる。

この美術鑑賞という「体験」をそのままで終わらせず「経験」にすることが大切であるが、それに重要な役割を果たすのが「アウトプット」である。

展覧会レポートを書くこと

この「体験」を「経験」に変えるアウトプットの方法として、まず「展覧会レポート」を書くことを勧めている。そしてその効能としては

  1. 文章にするために調べ物をするので理解が深まる:作品を受動的に鑑賞するだけならば予備知識なしでもよいが、文章に書こうとすると、作家、作品についての情報が必要になる。しかし、これはちょっとネットで検索する程度でもよい。
  2. 自分でも気がつかなかった感情を認識できる:文章にするためには展覧会での感想を反芻し、自分の感情をはっきりと認識する必要がある。その過程で自分の感情がよりはっきりと認識できるようになる。
  3. 言語化することで記を苦に定着する:文章を書くというのは、手間の折れる仕事である。そのため、展覧会での鑑賞体験がよりしっかりと自分の中に記憶できる。

さらにこのようなアウトプット前提で鑑賞する場合は、アウトプットのポイントを見つけようと、鑑賞自体も主体的になる。

発信することによる奇跡

さらに著者は、そのアウトプットを何かのプラットフォームを使って「発信すること」「発信し続けること」を勧めている。

不特定多数の人に発信し続けることにより、本人にも予想が出来なかったような化学変化が起こることがある。

著者自身もプラットフォームnoteでの美術に関する文章が出版社の目に留まったことが、本の執筆につながったことを紹介している。最初の本は『学芸員しか知らない美術館が楽しくなる話』(産業編集センター、2024)で、この本は3冊目である。

プラットフォームとバズりについて

この展覧会の感想を発信することは、それを読んだ人が興味をもって実際に美術館に訪れることもあるため、美術館にとっても大歓迎である。

発信のプラットフォームとしては、X、Instagram、ブログ、さらに著者が使用しているnoteなどがあるが、結局どれでも良いというのが著者の意見である。発信し続けることにより、しだいに「いいね」やコメントがつくようになり、しだいに交流も生まれて来る。

そして、せっかく発信するならばバスりたいというのが、誰しも憧れることである。バスルための条件としては、

  1. 役立つ内容
  2. あっと驚かせる内容
  3. 深く共感させる内容

があるが、一番可能性があるのは③の「深く共感させる内容」である。しかし、バズることを狙いすぎると「こういうのがウケるかな」と自分の感情のアウトプットという目的から離れてしまうため「バズを狙うのもほどほどにしましょう」と戒めている。


関連図書:ちいさな美術館の学芸員(著)『学芸員しか知らない美術館が楽しくなる話』、産業編集センター、2024年

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