『忙しい人のための美術館の歩き方』 ちいさな美術館の学芸員 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
第4章 SNS時代の美術館 鑑賞する側が主役になる 1 基本的な鑑賞の心得
今日から「第4章 SNS時代の美術館 鑑賞する側が主役になる」に入る。これまで第2章で、展覧会の歴史、第3章で最近の美術館の変化が取り扱われた。第四章では、視点を鑑賞者側に移し、美術館を楽しむ方法がテーマである。今日のところは、「基本的な鑑賞の心得」である。それでは読み始めよう。
企画展とコレクション展の違いについて
美術館を楽しむ第一歩は、展覧会を選ぶことである。展覧会を選ぶうえで、まず知っておきたいのは、展覧会には「企画展」と「コレクション展」の種類があることである。
「企画展」とは、特定の企画テーマに沿って、様々な美術館や所蔵家から作品を集めて行う展覧会で、巷で話題になる展覧会はほとんど企画展である。
一方「コレクション展」とは、その美術館が所蔵している作品(コレクション)だけを使って行う展覧会であり、企画展に比べて予算規模が小さい。美術館は本来所蔵する作品を調査研究し展示するところなので、こちらの方が美術館の基本事業である。
このコレクション展をじっくり楽しめるようになったら相当な上級者なのですが、や最初は企画展から挑戦した方が無難でしょう。(抜粋)
展覧会の探し方 — スマホ、雑誌、チラシ
ここでは、現在やっている企画展を調べる方法が紹介される。
スマホでの検索
主な検索サイトとしては、
- 「美術展ナビ」:読売新聞の美術展情報サイト
- 『美術手帖』:雑誌『美術手帖』のウェブサイト
- 「Tokyo Art Best」:20年以上続くアートメディア
などである。
これらのウェブサイトは、情報の網羅性と検索の簡易性が利点であるが、反面ある程度条件を付けて絞り込んで検索しないと情報量が多くなりすぎる。
美術雑誌
主なものとして『芸術新潮』、『美術の窓』、『美術手帖』などがある。また、「○○年のオススメ展覧会ガイド」「上半期の注目展覧ガイド」などのムック本も多い。
これらの雑誌は、注目の展覧会が厳選され、専門家や美術ライターによる紹介文もついているので、自分に合う展覧会が見つけやすい。
展覧会チラシ
展覧会チラシを見て決めるという方法もある。チラシを見てビビっと来た展覧会に行くというのは、案外外れない。展覧会に行ったとき、置いてあるチラシをもらってきて次の展覧会を見つけるのも良い。
美術館への事前準備と持ち物
美術館への事前準備として、著者は「展覧会の事前の予習は必要ない」と言っている。予習としては、せいぜいチラシの表と裏を眺めておくくらいで十分である。ただし、会期、開館日、開館時間のようなものは、たまに間違える人がいるので、しっかり確認したい。
持ち物としては、
- メモ帳:鑑賞しながらメモを取るため
- 鉛筆:展示室内は原則として鉛筆しか使えない
- クリアファイル:出品リスト、展覧会チラシなどを入れるため
- 単眼鏡or双眼鏡:作品の細部を見るため
- サブバック:荷物はロッカーにあずけ、展示室内は身軽な方が良い
などが便利である。
一人で行くか、誰かと行くか
ここで著者は、美術館に行く際に一人で行くかそれとも誰かと行くかという問題に触れている。
一人で行く場合は、誰にも邪魔されずに自分のペースで見て回れるので、鑑賞に集中できるというメリットがある。一方、誰かと行く場合は、作品について語り合い、自分と違った視点を知ることが出来るというメリットがある。
著者が調査では一人で行く派の人が圧倒的に多かったが、展覧会というものは、並んでいる作品を見るだけの行為ではなく、行くタイミングや誰と行くか、そういった全部をひっくるめた体験であることを考えると、一人で行くのが好きな人も、たまには誰かと展覧会に行くのもよい。
展覧会でのおすすめ鑑賞法
ここに、著者による展覧会の鑑賞に対するアドバイスがある。まず大切なことは「いい加減に見る」ということである。これは、最初のあいさつパネルから熱心に読み始め、その勢いのまま鑑賞すると、途中で集中力の限界が来てしまい最後の方は流し見になってしまうからである。
そのため、「いい加減に見る」程度の気持ちで展覧会会場をまず一周してみる。そうすると、特に興味を引く作品がどれなのか、気になるコーナーがどこなのかが把握できる。つまり、まずいい加減に一巡して展覧会の雰囲気を味わいながら世界観を理解する。
そして、最後まで行ったら、もう一度最初に戻る。そして、今度は集中してみるところ、気を抜いてみるところ、とメリハリをつけて鑑賞をする。このようにすると、途中で集中力が切れて後半に何を見たのか印象に残らないという失敗がなくなる。
このような流し見からメリハリという2回鑑賞をすると、最低でも1時間、人によっては2時間の時間がかかる。著者は、この2周目で琴線に触れたコーナーに意識を集中することによる、自分なりの発見・気づきが、美術鑑賞のだいご味であると言っている。

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