[読書日誌]『ファンタジーに秘められた宗教』
中村 圭志 著

Reading Journal 2nd

『ファンタジーに秘められた宗教』 中村 圭志 著、NHK出版(NHKこころの時代―宗教・人生)、2026年
[Reading Journal 2nd:読書日誌]

はじめに

NHKの「こころの時代 – 宗教・人生」シリーズで『ファンタジーに秘められた宗教』の放映が始まった。これはなかなか面白そうだね、と思って録画予約をしておきました。そして、先日のことですが、本屋さんに行ったとき、テキストがあったので、そういえばこれはどんな感じだ?と思ってパラパラとめくってみた。

内容は、とどのつまり「ファンタジー×宗教」のような感じである。取り上げらえている作品には、『星の王子さま』『ムーミン』などそれなりに熱心に読んだ本もある、いや、ムーミンって宗教的だっけ?さらには、『銀河鉄道の夜』は、同じくNHKこころの時代で放映された『宮沢賢治 久遠の宇宙に生きる』も出てきて、なるほど、これは宗教だよねぇ思ったりした。これは面白そうなのでテキストを買ってきました。それでは、読みはじめよう。


本誌は、『星の王子さま』や『銀河鉄道の夜』など、国内外のよく知られたファンタジー作品を取り上げ、内容を解説しながら、そこに含まれている宗教性を掘り起こす、という趣旨しゅしで書いたものです。(抜粋)

ァンタジーの架空の世界設定は、一種の比喩ひゆとして、現実世界を照らすことが出来る。そして、それは宗教的な問題に関してもイメージを喚起させる力を持っている。

宗教の問題」とは日常的な合理性では解決できない問題のことである。そのような問題に対し人は、合理性だけでなく感情や感性を動員し、過去と未来を見通す直観力を持って対処せざるを得ない。そういう状況で人類は神仏しんぶつれい来世らいせさとり、いやし、しずめを語ってきた。しかし現代は、神や仏や来世といった言葉がストレートに伝わる時代ではない

私は、宗教と社会とのこうしたギャップを埋めるような働きが、すぐれたファンタジーにはあると感じています。すなわち、SF、漫画、アニメーションなどを含むファンタジー作品には、宗教が提供してきた、人々を自己と世界の観察や洞察、深い共感、希望と安心へと導く気づきを、現代の文脈の中でさりげなく提供しているものがたくさんあるのです。(抜粋)

なるほどなるほど、この最後の言葉は、なかなか味わいがありますね。このような視点は、柳田邦男『人生の一冊の絵本』にもあったように思う。神仏に祈っても、現実にはままならないし、上からああセイ、こうセイと言われても、ああ・・・・それが出来ないから困っているんだよね、というのが本音ですね。でもそういう時に、そっと寄り添ってくれるファンタジーって、あぁ・・いいですよね。(つくジー)


関連図書:

北川前肇(著)『宮沢賢治 久遠の宇宙に生きる』、NHK出版 (NHKこころの時代)、2023年
柳田邦男(著)『人生の一冊の絵本』、岩波書店 (岩波新書)、2020年


目次

はじめに [第1回]
第①回 『星の王子さま』 肝心なことは目に見えない
第②回 『蜘蛛の糸』 悪人とはだれか
第③回 『ムーミン』 孤独な小さき者たち
第④回 『銀河鉄道の夜』 生者と死者の旅路
第⑤回 『ナルニア国物語』『ケド戦記』『ハリー・ポッター』 移り変わる宗教心
第⑥回 『火の鳥』『風の谷のナウシカ』 現代日本の死生観

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