「美術を語れる人」になるためには — SNS時代の美術館 鑑賞する側が主役になる(その4)
ちいさな美術館の学芸員 『忙しい人のための美術館の歩き方』より

Reading Journal 2nd

『忙しい人のための美術館の歩き方』 ちいさな美術館の学芸員 著
 [Reading Journal 2nd:読書日誌]

第4章 SNS時代の美術館 鑑賞する側が主役になる 4 「美術を語れる人」になるためには

今日のところは、いよいよ第4章の最終節「「美術を語れる人」になるには」である。第4章では、美術を鑑賞する側に対するアドバイスであったが、ここでやっと「美術を語れる人」になるには、どうしたらよいかという問題に対するアドバイスがある。それでは読み始めよう。


美術を語れるようになりたいと思っている人は、案外少なくないようです。本章では、美術館で鑑賞する際の心得、感想をアウトプットする重要性、そしてそのために鑑賞メモを活用する方法について解説してきました。実はこれらはすべて、美術を語るための助走のようなものです。つまりここまで読んできてくれたあなたは、もうすでに美術を語れる人になる下準備が整っていることになります。(抜粋)

学芸員が「美術について語れる」ようになるまで

著者は「美術を語れる」ということは、「鑑賞した作品の魅力を自分の言葉で人に伝えることが出来ることだ」と、どうすれば「美術を語れる」ようになれるかについて、学芸員の受ける訓練にそのヒントを探っている。

学芸員を目指す人は、大学および大学院で美術史を専攻する。美術史専攻では、次のような訓練を行っている。

① とにかくなるべく多くの実物を見る

美術史を専攻すると「とにかく実物を見ろ」と言われる。もちろんネットでの検索や画集のような物でも大抵の作品は見られるが、それでは厳密には、見たことにならない。展覧会に足を運び、場合によっては所蔵先にお願いして自分の眼で見る必要がある。

② 先行研究を読みまくる

この作品を見ることと並行して、膨大な量の先行研究に目を通すことが必要である。地道に先行研究を読み、それらを把握することが研究のスタートラインである。

③ テキスト・クリティークを徹底的に行う

美術史は歴史学の一種であるから、その史料としては現場で記録された一次史料と間接的な伝言である二次史料に分けて考える。そして、当然その一次史料を重視する。そして、その史料の信憑性を検証することを「テキスト・クリティーク(史料批判)」という。

美術史では一次史料である作品の真贋しんがん、時代考証、作者の検証を徹底的に行うのです。(抜粋)

④ 壮大なテーマでなく作品研究から始める

そして、壮大なテーマに取り組んでも、実力に見合わないと考察が空中分解してしまうから、まずは「一点の作品」を題材にじっくり考察して、作品研究から始めるべきである。

作品について論述することをディスクリプション(作品記述)と言います。(抜粋)

「美術を語れる人」になるために必要なこと

美術を語れるようになりたいからと言って、私たち学芸員が学生時代に何年もかけて行ってきたことと同じようにしなければいけないわけではありません。(抜粋)

ここからは、これらの①-④を、美術館に通いながらカジュアルに実行する方法が説明されている。

  1. とにかくなるべく多くの実物を見る:興味のある展覧会に足を運んでいれば自然と達成できる。ただしアウトプットのためのメモを取ることが重要である。
  2. 先行研究を読みまくる:これをそのまま実行しようとすると、お勉強のようになってしまう。著者のおすすめとしては、SNSで他人の展覧会レポート、作品の感想などを読むことである。
  3. テキスト・クリティークを徹底的に行う:①をじっくり行うことで脳内にイメージがストックされ、自然に、個々の作品に関していろいろな発見をすることが出来るようになる。このように作品を隅々まで見ることは、テキスト・クリティークにつながる。
  4. 壮大なテーマでなく作品研究から始める:これは、作品内容を言語化することであるので、著者が勧める展覧会レポートがうってつけである。

これらは、カジュアルに実行すると言っても、それなりにハードである。しかし、これを楽しみながらやることが大事である。

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