[再掲載]『明治の洋館』
NHK「美の壷」制作班

Reading Journal 1st

NHK美の壺『長崎の教会』を再掲載したので、同じくNHK美の壺『明治の洋館』を再掲載することにする。オリジナルのブログでも同じように『長崎の教会』の次に掲載したみたいだしね。

(2026年6月20日)


NHK美の壺「明治の洋館」
NHK「美の壷」制作班 編 NHK出版 950円+税 2006年 523.3メ
[Reading Journal 1st:再掲載]
(初出:2009-01-19)

「美の壺」を探しに―ー明治の洋館、そもその洋館とは、洋館を建てた「日本人」、壱のツボ 洋館の醍醐味は”階段”にあり、コラム お雇い外国人コンドル

『長崎の教会』に続いて、美の壺シリーズ2冊目、『明治の洋館』。今回は、経費節減のため図書館から借りてしまった。


一般に洋館と言われるものは、江戸末期から明治・大正・昭和の戦前までに建てられたものであり、欧米の影響を受けた外観や構造を持つ建物を指す。
明治政府は不平等条約を一刻も早く改正するため、欧米諸国と同レベルの文明を日本も持つ事を誇示するために、公共建築は洋風にする政策を取った。ただ、問題点は明治初期の日本には建築家という専門家が存在しなかったことである。
西洋建築を知る外国建築家や技術者に対してその需要は非常に多くかった。国家的な建造物についてはお雇い外国人と呼ばれる外国人建築士や技師が設計を担当したが、地方の公共施設などの洋館は、その設計から施工までを伝統的建築技術を受け継ぐ棟梁や職人たちが見よう見まねで作ることになる。
西洋の洋館は、大まかに3つの系統がある。

  1. 外国人建築家が手がけた洋館。西洋の建築方式と構造法を用いたオーソドックスなもの
  2. 日本人大工により、伝統的な和風建築の構造技術をベースに造り上げられた洋館
  3. 正規の西洋建築を学んだ日本人建築家による洋館

の3つである。

まず「壱のツボ」として紹介されているのは、お雇い外国人であったイギリス人ジョアイア・コンドルにより設計された「旧岩崎邸庭園」内の洋館である。

上野の不忍池のほど近くにあるこの洋館は、17世紀初頭の英国ジャコビアン様式を基調とし、ルネッサンスやイスラム風のモチーフなどの様式を折衷した堂々とした西洋建築である。

ここで決して見逃してはならない場所、それは「階段」である。

建築史の第一人者、鈴木博之さん(東京大学教授)は、洋館を見るうえで、最も大事なポイントを、次のように指摘する。
「いい階段は、いい建築を生む。いい階段がある建物はいい建物だ、と言えると思います」
これこそが、洋館の鑑賞のひとつめのツボ。(抜粋)

この旧岩崎邸のメインホールの階段は、おなじくコンドルの設計した鹿鳴館を思わせ、ジャコビアン様式の精密で華麗な装飾とゴシック様式の荘厳かつ重厚な意匠が融合している。

旧岩崎邸の階段は、北側にある正面玄関を入り、廊下をくの字に曲がった先、ちょうど館の中心に位置する。廊下を歩くことで、邸内の様子もわかり、ゲストの気分も盛り上がる。すると、急に目の前が広ける。そこが階段室。岩崎家の当主は、ここで来客を迎えたという。
「客がホールあたりまで来たとき、主人が上から階段を降り、迎えにくる。階段は、主人と客が出会う舞台になっているわけです。」
客が主人と最初に対面する劇的な空間。それは、洋館全体の印象を決定づけるほど、重要な役割を持っていると、鈴木さんはいう。(抜粋)

このように踊り場つきの折れ曲がった階段は、それまでの日本建築にはなく、それは、邸内全体を大きく見せる効果を持っていた。

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