[再掲載]「ムーミン谷の十一月」
冨原 眞弓 『ムーミンを読む』より

Reading Journal 1st

「ムーミンを読む」 冨原 眞弓 著 (読了06)
[Reading Journal 1st:再掲載]
(初出:2006-03-13 )

『ムーミン谷の十一月』—–ムーミンたちを待つトフト
1.からっぽの谷 2.ムーミン屋敷をめざす客たち 3.パパとトフトの水晶玉 4.ヌンムリィテスのひみつ 5.ヌンムリィテスと水晶玉 6.いかりの森
あとがき

今日の所は、最終作『ムーミン谷の十一月』について。

前章でも触れているとおり、この物語には、ムーミン一家は登場しない。(「ムーミンパパ海へいく」にあるように、ムーミン一家は島に行っている。)
ムーミン一家のいないムーミン谷に、ムーミンたちを訪ねてお客さんがやってきて、共同生活しながら、各々の問題を解決していくのがこの物語である。

ムーミンたちのいないムーミン谷に、ヘルムだのフィリフヨンカだのトフトだのスクルッ トおじさんだのと、さまざまな悩みをかかえた訪問者がつぎつぎとやってきて、自分さがしの物語をくりひろげる。そして、「ほんとうの自分」をみつける手本 となるのが、めいめいの思いこみによって理想化されたムーミンたちというわけだ。そこへ、妹のミイの顔をみにきたミムラと、べつの理由から谷にもどってきたスナフキンが加わり、ちぐはぐなとりあわせの六人の共同生活がはじまる。(抜粋)

この物語の刊行される数ヶ月前にヤンソンは母シグネを失った、このシグネが、ムーミンママのモデルである。ムーミンママはこの物語で影の主人公とも言える重要な役割をしている。そして、ヤンソン自身の分身がこのものがたりではトフトである。

各自が各々の問題を解決したのち、一人一人ムーミン谷を後にしていった。後の残ったのはトフトひとりだった。

トフトは森のなかをずんずん歩いていった。そうか、わかった。きみはママになにをして あげられるのかな、とスナフキンはいいたかったんだ。もう待つことはつらくない。・・・・中略・・・・トフトは勢いよく立ちあがった。これから桟橋に走っていって、ボートをつなぐもやい綱をうけとる時間はたっぷりあるぞ。それからさきの物語は、トフトとムーミンたちだけのものだ。わたしたち読者には永遠に あかされない、あらたな物語がはじまるのである。(抜粋)

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