『ストレスの話 メカニズムと対処法』 福間 詳 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
第Ⅰ部 ストレスとは何か
第2章 ストレス障害とPTSD
一.ストレス障害 — 症状と経過(後半)
今日のところは「ストレス障害」の後半。前半は、「ストレス障害」の様々な症状について解説された。後半では、それを受けてハイリスクストレッサーとローリスクストレッサーが引き起こすストレス反応について、さらに、ストレス反応の医学的位置づけについてである。
ストレス障害のなかで「ハイリスクストレッサー」に伴う反応は、「急性ストレス反応(ASD)」と「心的外傷後ストレス反応(PTSD)」である。この二つの違いは、単に「症状の持続期間」であり、一カ月未満の物をASD、一カ月以上継続するものをPTSDとしている。
ハイリスクストレッサーは、「自然災害」「大事故」「戦闘行為」「暴行」「拷問」「強姦」などの単一刺激であることが特徴である。その反応期間が長期化する要因は、そのストレスの強度だけでなく、その後の2次的な様々なストレス、生活環境、社会環境、風評、薬物などの多くの要因が関係する。
特殊なPTSDとして症状の発見が刺激を受けた直後ではなく数週間から数カ月たって発病する遅発性PTSDがあり、これは、症状が長期化するほど深刻になり、人格変化(世間に対する敵愾心や猜疑心、社会的ひきこもり、空虚・無力感、慢性的な危機意識、共感性の欠如)をきたす場合がある。
われわれが日常的に遭遇する「ローリスクストレッサー」は、慢性的、持続的に負荷されることが特徴である。ストレスの耐性は人によって異なり、ストレス障害の症状の出現には「ブレーキングポイント」がある。これは「脳の疲労が限界点に達した状態」と表現できる。
脳の疲労は意外と最後まで自覚ができず、また脳を休めること自体も困難である。そのため発症してから早期に対応を取らないと長期化する傾向がある。発症後は短い時間で変動しやすいことも特徴であり、ストレッサー以外のマイナス刺激にも過敏に反応する。著者の印象では発症後すぐに対応をとっても全治三か月くらいであり、発症後一年くらいたってからの対応では、同じくらいの治療期間がかかる。
ローリスクストレッサーの場合、様々な感情が長期間にわたり交錯するため、回避・逃避的心理が強まる傾向があり、多くの場合「打たれ弱さ」を残す。
ここから、ストレス障害の医学的位置について書かれている。
現在の日本における病名は、
- 「保険病名」:国民健康保険や社会保険で利用されている病名
- 「権威のある機関により規定された疾患分類」:学会や世界保健機関のような権がある機関が定めた病名(精神科領域では、DSMやICDなど)
- 「外来病名」:診療場面などで分かりやすく説明するための、慣用的に使用される病名
の3つがある。ここで「ストレス障害」は、まず1の保険病名ではない。2のDSMやICDでは、「PTSD」「ASD」は明記されている。その他「身体表現性障害」「解離性障害」「適応障害」などもある。しかし、「ストレス障害」という病名はない。すなわち、現在の「ストレス障害」は、「外来病名」である。
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