『悪文 伝わる文章の作法』岩渕 悦太郎 編著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
文の途中での切り方(その2)
連用形による中止法、句読法、接続助詞の「が」、悪文としての中止法
連用形による中止法
前回に続いて中止法について説明されている。ここでは「連用形による中止法」について書かれている。まずその用法は、
- A)動作・作用の推移・連続
- B)並列
- C)原因・理由
- D)方法・手段
- E)逆接
と、ざっと5種類の用法がある。これは、書く方としては便利な用法であるが、形をみてどの用法か見わけなければならないので読む方としては、不便である。つまり、読む方の負担が増え読み誤りの原因となる。
連用形による中止法では、助詞の「て」を伴う「テ付き中止」と「ハダカ中止」がある。そして、その傾向として、
- (1)用法(A)、(B)はハダカが比較的多く、(C)~(E)はテ付きが比較的多い。
- (2)ハダカの方が古臭く、テ付きの方が新しく感じられ、口語的である。
がある。
句読法
中止用法は、意味のかかり方で曖昧になることがある。たとえば
彼女は目を輝かせて話し続ける彼を見つめていた。(抜粋)
は、目を輝かせているのは、彼女か彼かわからない。このように中止用法は、繋がり方においても読み手の負担が増える。
しかし、連用中止用法のつながり方の曖昧さは、句読点の打ち方によってある程度救うことができる。上の例では、
彼女は目を輝かせて、話し続ける彼をみつめていた。(彼女が目を輝かせた)
彼女は、目を輝かせて話し続ける彼を見つめていた。(彼が目を輝かせた)(抜粋)
とすればよい。連用形にかかわらず中止用法は文を途中で止める用法である。したがって、ここには切れ目があるので句読点は必要である。そかし、勢いに任せて文章を書くと必ずしも読みやすい位置に句読点が来るとは限らないので注意が必要である。
読点の最大の役割は、文の中止を形式に表すことである。この役割の認識の仕方が、この種の悪文と関係している事は明らかである。(抜粋)
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