大きな民族の偉大な教師
エルンスト・H・ゴンブリッチ 『若い読者のための世界史』 より

Reading Journal 2nd

エルンスト・H・ゴンブリッチ 『若い読者のための世界史』
[Reading Journal 2nd:読書日誌]

一一 大きな民族の偉大な教師

第十章は古代インドだったが、第十一章は、古代の中国である。ここでもまずは古代インドの話をした後に、中国の孔子老子の思想が書かれている。

中国は今から約二四〇〇年前から存在している。そして、千年以上前から自らを「天の息子」と名乗った皇帝たちが全土を支配していた。その皇帝の下に多くの豪族がいて地方を支配していた。それは、中国の国土が極めて広いためである。広い国土に住む中国人は、地方によって全く違った言葉を話すなど違いが多かったが、彼らは共通の文字(漢字)を使っていたためばらばらにならずに済んだのである。

紀元前五〇〇年ごろ、ちょうどインドでブッタが人びとを苦悩から解放しようと努力していたころに、中国では孔子が生まれた。彼は、ブッタとは違い「人びとが平和に共に暮らす」道を説いた。

孔子が指し示した道は、かんたんであった。すぐにはきみにも見えないかもしれないが、そこには奥の深い多くの知恵が隠されているのだ。彼は、日常の表面的なしきたり、たとえば目上の人にあえば頭を下げ、わきによって道をゆずり、けっして坐ったまま話しかけないこと。これらは、人間の生活にあってはわたしたちが考える以上に大切なことだと教える。日常の表面的なしきたりに対しては、中国人は私たち以上に多くのきまりをもち、それを「礼」とよんで重んじたのだ。(抜粋)

このようは孔子の教えがあったからこそ、中国は多くの周辺国を従えて結局バラバラにならずに長くあり続けることができた。

孔子からしばらくのち、中国には別の考え方を持った賢人、老子があらわれた。彼は山深い所に隠遁者として住んでいた。その教えは、

全世界には、雨にも風にも、動物に植物にも、昼と夜の交替にも、星、月、太陽の運行にも、ひとつの偉大な掟が作用している。彼は、それを「道」と名づけた。そして、落ち着きというものをもたない者、右往左往する者、多くのはかりごとや考えをこころにいだく者、神に生け贄をささげ祈る者、彼らはけっしてこの掟に近づくことはできず、その力を知らず、またその作用をさまたげる、というのだ。(抜粋)

というものであった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました