『それでも生きる 旧約聖書「コヘレトの言葉」』小友 聡 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
第2回 人生のはかなさを知る(前半)
まず第2回では、コヘレトの言葉のキーワードである「空」=「へベル」を通してコヘレトの意図を考えている。
コヘレトの言葉で冒頭に出てくる「空」という言葉は、その後も三十八回も出てくる。この「空」という言葉の言語はヘブライ語で「へベル」である。このへベルには、「空しさ」のほかに、「無益」、「無意味」という否定的な意味がある。
コヘレトは、「空」に加えて「風」という言葉もよく使っています。「すべては空である」のあとに「風を追うようなことだ」とつけて、決まり文句としている。(抜粋)
この「風」は、ヘブライ語の「ルーアハ」で、「風」のほかに、「息」、「霊」とも訳され、儚い意味する言葉である。
「へベル」は、確かに「空しい」、「空虚」という意味があるが、英語の聖書では、実の多くの単語に訳されている。そして、否定的な意味だけでなく「儚い」「神秘」「謎めいた」という抽象語にも訳されている。
それは、「ルーアハ」は、「消えていくもの、儚いもの」という意味と重なります。
そこで、私はへベルの第一義を「束の間」、つまり時間的に短いことととらえてみました。(抜粋)
このように捉えてコヘレトの言葉を読むと、
コヘレトは、「人生はほんの束の間である」と繰り返し、「だから時間を無駄にするな」と訴えているのです。(抜粋)
といっている。
ここで、「へベル」と「ルーアハ」というコヘレトの言葉で重要なキーワードが出てきた。
この語については、前に読んだ『コヘレトの言葉を読もう』に解説がある。
「へベル」に関しては、「コラム 「空しさ」と「空」」
「ルーアハ」に関しては、「コラム 「霊」と「息」」を参照。
関連図書:『コヘレトの言葉を読もう 「生きよ」と呼びかける書』 小友 聡 著 日本キリスト教出版局2019年
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