『成長を支援するということ』 リチャード・ボヤツィス 他 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
7 共鳴する関係を育む(前半)
今日のところは「7 共鳴する関係を育む」である。共鳴する関係は、あらゆる変化のプロセスの核となる。ここでは、コーチングにおいて効果的な人間関係(共鳴する関係)を育む土台をいかに作るか、支援者側の心の準備がどのように影響するか、そして積極的に耳を傾けることがいかに重要であるかについて探っていく。本章は”前半”と”後半”に分けてまとめる事にする。まず”前半“は、共鳴する関係を築く必要性について、そして支援者のマインドセットの重要性についてである。それでは、読み始めよう。
共鳴する関係を築く
支援者と対象者の間に共鳴する関係を築くには、意思と準備と実践が必要である。
成長のための効果的な対話は、個々の人間関係の質、大事な局面を共に過ごし深く話を聞くこと、意義のある議論、成長し変化するための励ましで形づくられる。
質の高いつながりは、「感情のキャパシティ」「張力」「結びつきの強度」という3つの側面で説明できる。
- 「感情のキャパシティ」が大きければポジティブな感情からネガティブな感情まですべてを共有できる。
- 「張力」は、二人の関係をあらゆる状況や背景に適応させる能力のことである。
- 「結びつきの強度」は、心を開くことをどの程度相手に促せるかを測る尺度である。
転機をもたらすような影響を与えるには、支援者と対象者の間にポジティブな相互関係が必要である。お互いが敬意を払い等しくメリットがあることが必要である。そのようなとき相手が学びや変化に対してオープンになるのを助けられる。
人は他者とのやり取りから感情の伝播や模倣を通して影響と受けるため、支援者は互いの気分や感情に対して多大な影響力を持つことを忘れてはいけない。つねに自分の気分や感情が伝搬することを意識する必要がある。
「共鳴する関係」とは、サポート、安心、安全を形にしたものであり、深く考え、イニシアティブをとり、挑みつづけるためのエネルギーやモチベーションを吹きこんでくれるものだ。(抜粋)
ビジョンを共有し、ポジティブなエネルギーを解き放ち、支援者と対象者を結びつけるような対話がなされる必要がある。
著者たちの研究では、このような「質の高い人間関係」は、「共有ビジョン」「双方向の思いやり」「共有されたエネルギー」の3つが必要であるとしている。また、他の研究では、「心からのつながりがあること」「効果的なコミュニケーションがとられていること」「一緒に過ごすのが心地よくかんじられる間柄であること」「協力することで成長が促進されること」の4つをあげている。
支援者のマインドセットの重要性
対象者と「共鳴する関係」を築くために、対話のスキルと同じくらい大切なものは、支援者の「マインドセット」である。誰かを支援しようとするとき、自分のマインドセットや感情が会話の展開を左右してしまう。
ここで、このマインドセットを整えるための3つの事柄を上げる。
- 人の変化は単発の出来事ではなく、一連のプロセスであることを知ること。新しい習慣を身に着けるためには、「オーブンであること」「自覚的であること」「行動するエネルギーをもつこと」の3つを可能とする実践とフィードバックが必要である。そのようなことは一夜にして完了するわけではない。
- コーチングへのアプローチを、ただ土を掘り返すだけでなく金[ゴールド]を発掘するチャンスと考えること。
- 対話の内容は相手から引き出すべきだということ。支援者はプロセスの管理は必要だが、自分のアドバイスや経験を披露するのではなく相手から引き出す必要がある。そのために話題は柔軟に変えられるようにするべきである。
さらに、この3つのガイドラインとは別に、質の高い人間関係を築くためには、相手と同じくらい自分の状態も意識する必要がある。
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