『成長を支援するということ』 リチャード・ボヤツィス 他 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
7 共鳴する関係を育む(後半)
今日のところは「7 共鳴する関係を育む」”後半“である。”前半“は、支援者と対象者に「共鳴する関係」を築くことについて、そしてその時に重要になる支援者のマインドセットについてまとめた。今日のところ”後半“は、「共鳴する関係」を築くため重要な聞くこと(アクティブ・リスニング)についてである。それでは、読み始めよう。
コーチングでの話の聞き方(アクティブ・リスニング)
コーチングの時、著者たちは「ほかには?」「もっと話してください」というフレーズを好んで使う。これは相手の深層心理に興味があることを示す質問だからである。質問そのものに言葉を引き出す効果がある。対話をする場合、相手が言うことに関心があり、価値を見いだしていることを態度示すべきである。
相手と共鳴する関係を築きたい場合は「聞くこと」である。
聞く、というのは気遣いを示しながら話に耳を傾けることだ。アクティブ・リスニング(積極的傾聴)とは、すべての注意を相手に向け、意識を総動員して耳を傾ける事である。目指すところは、相手の考え方やメッセージを完全に理解し、たとえ賛同できなくても相手の見解を尊重することだ。自分が賛同するかしないかは言葉や非言語的なシグナルを通して伝えるべきではあるが、まず相手の考えや感情を理解し、相手が言わんとしていることを受け入れて敬意を払うのが先である。(抜粋)
しかし大半の人は聞くとなると苦労する。相手の言葉を遮ったり、文章の終わりを先取りしたりし、相手の言っていることを評価する。そして、提案やアドバイス、命令をしてしまう。
コーチングにおいても聞き方次第で断絶が起こる。優秀なコーチは聞き上手でなければならない。
アクティブ・リスニングには意思の力と、努力と、エネルギーが必要である。深く聞くということは相手を意識続けることである。このとき支援者が対象者の波長に合わせる必要があり、そのリソースは自分の中のエンパシー(共感力)である。支援者は、相手の見ているもの、感じていることを自分のことのように想像することができなければならない。
このエンパシーには、「認知的側面」「感情的側面」「行動的側面」の3つの側面がある。
- 「認知的エンパシー」とは、相手のものの見方を画念的に理解するために働く
- 「感情的エンパシー」は相手の感情に同調して、相手が感じていることを自分も感じる能力である
- 「行動的エンパシー」とは、「共感的な気遣い」と呼ばれるもので、相手を支援したいと思う時の原動力となる
上手に聞くことは難しいが、これは伸ばすことのできる能力である。この聞くことは、
- レベル1:「つながる段階」:他者の話を聞き、相手の言葉が自分にとってどういう意味をもつかを判断する段階
- レベル2:「集中する段階」:相手のすべてに注意を向け、理解やつながりを深めるためにエンパシーを示す段階
- レベル3:「包括的な段階」:意識を総動員して言葉を超えた部分まで聞き取る段階
の3つの段階がある。相手を支援する場合は、レベル1の段階より進んでレベル2や3の段階にまで行く必要がある。
相手に注意を向けたままベストな状態で話を聞くことには、簡単なコツが2つある。
- 相手が話す割合と自分が話す割合を8対2にすること
- WAIT [Why am I talking](なぜ私は話しているのか?)というフレーズを覚えておいて、自分が喋りすぎていると感じたらWAITを思い出すこと
自分が話過ぎていると感じた場合は、何か質問をして焦点を自分や自分の話からずらし、話を対象者に戻すと良い。
コーチングにおいても、「話す」よりも「聞く」が中心になっていくようで、このあたりは、この前読んだ『プロカウンセラーの聞く技術』を思い出した。もっともこれはカウンセリングの本だからかなり難しいというか・・・専門的でしたね。
それからそれから、ここの最後に書いてあった「簡単はコツ」は中々参考になると思った。WAIT、WAIT、WAIT、WAIT、と唱えよう(つくジー)
関連図書:東山紘久(著)『プロカウンセラーの聞く技術』、創元社、2000年
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