『作家の仕事部屋』 ジャン=ルイ・ド・ランビュール 編
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
フランソワーズ・マレ=ジョリス – 人から聞いた話を利用する
フランソワーズ・マレ=ジョリス (Françoise Mallet-Joris) は、古典的な構造と写実的な描写力で注目を浴びたリアリズム作家である。彼女は自分自身のことや家族の生活のことを語るにせよ、つねに現実との絆を保ち、明確な言葉で語る。
仕事の方法
私はエクリチュールの理論などを持っていない。
私にとって大事なのは、胸を締めつけるような不安と戦うことです。(抜粋)
小説をかなり書きこん時でさえ、最初から仕事に没頭することはない。ただ一種の用心から二十分ほど朝刊を読むようにしている。
小説を書くときは、最後まで書き通せないという恐怖がつねにつきまとうので、原稿は休みなしに一気に書いてしまう。
仕事の一段階目は、主題の萌芽が見え始めたころ、強く集中して冒険の道に踏み込むことである。あらかじめプランを立てるようなことは行わずに直観を頼りに書き進める。そして、一度読み直して、登場人物の特徴などに矛盾があった場合は、それを直す。その後、初稿に、あとからプランを与える。その初稿は二百五十頁から三百頁くらいになる。
そのあと、テクストを鋏で切ってそれぞれの場面ごとに仕分け、場面によっては順序を変える。その後、さまざまな断章の継ぎ目が目につかなくなるまで、何度でもタイプを打ち直す。
執筆場所
自分は主婦であり母であるため邪魔をされずに書くことは至難の業である。そのため、非常に早くからカフェに行って書くことが習慣になっている。子どもが大きくなってからは家で書くことも増え、家で仕事をするときは台所が多い。
書き方について
私の欠点は、とかく脱線しがちになることである。どんなこともその細部まで書きこまずにはいられない。自分の声に従って書き進めたら、どの小説も二千二百頁くらいになってしまうだろうと思う。私は自分の短所を長所に変えるほど自己抑制力を持ってないので、いつも目のきく友人の意見を求めることにしている。そして、その意見にしたがって原稿を切り詰めていく。
そういうわけで、稿を改めるたびに私の小説は《あら皮》のように縮まってしまうのです。(抜粋)
私は仕事の前に調査をするようなことをしない。それよりも周囲の人の話のほうがはるかに霊感を与えてくれる。
私は人の話を聞くのが大好きです。ふつう、聞くよりも話すほうがすきだという人が多いので、私はなんの苦労もなく小説の材料を集めることができるわけです。(抜粋)
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