「機能型の自己注目と機能不全型の自己注目」
坂本真士『ネガティブ・マインド』より

Reading Journal 2nd

『ネガティブ・マインド : なぜ「うつ」になる、どう予防する』 坂本真士 著
 [Reading Journal 2nd:読書日誌]

第4章 ネガティブ・マインドの調節
4.1 機能型の自己注目と機能不全型の自己注目

ここから第4章に入る。第4章では、どのようにしてネガティブ・マインドから抜け出すかを検討する。本節では、まずポジティブな自己注目である機能型の自己注目とうつにつながる機能不全型の自己注目の違いについて書かれている。


自己注目のうち「内省」や「内観」と呼ばれるものは、自分や自分と人の関りを洞察することで悩みの解消や自己の成長につながる。これは第3章で述べた自己注目とは違い適応的に機能し「機能型の自己注目」と言う。

自己注目はうつや不安につながる反面、悩みの解消や自己成長にもつながる可能性がある諸刃の剣である。そうするとネガティブ・マインドから脱却するカギは、内省や内観といった機能型の自己注目と、ネガティブ・マインドである機能不全型の自己注目との違いを明らかにすることで得られそうだ。(抜粋)
「機能型自己注目」と「機能不全型自己注目の違い」 (表4-1より)

感情状態
[機能型] 落ち着いた状態で自己注目
[機能不全型] ネガティブな感情で自己注目

自己注目の特徴
[機能型] ネガティブな感情のまま自己注目を続けない。(気晴らしなど)
[機能不全型] 気晴らしなどが難しくネガティブな感情のまま自己注目

動機
[機能型] 自己理解・自己発見
[機能不全型] ネガティブな出来事の反応としての自己注目

視点
[機能型] 公平で多面的な評価
[機能不全型] 視野狭窄、偏った評価

思考の特徴
[機能型] 足し算思考、具体-抽象レベルの思考の使い分け
[機能不全型] 完全思考、引き算思考・推論の誤り、ネガティブな事態に対して抽象レベルに留まる

他者
[機能型] 他者とのつながり、良好な対人関係
[機能不全型] 他者に閉鎖的、対人関係が希薄
このように比較してみると、機能不全的な自己注目を機能的なものに変えるためには、二つのカギがあることがわかる。すなわち、①自己注目する際の感情状態を改善させることと、②自己注目する際の視点と評価の仕方(およびその背景にある対人関係のあり方)を機能的なものに変えるとである。(抜粋)

以後4..2節、4.3節では、感情の改善をはかるための「気晴らし」と「運動」(上の①に対応)
4.4節では、自己注目の仕方を改善する方法について(上の②に対応)
解説するとして節を閉じている。

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