場モデル
鹿毛雅治『モチベーションの心理学』より

Reading Journal 2nd

『モチベーションの心理学 : 「やる気」と「意欲」のメカニズム』 鹿毛雅治 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]

第1章 モチベーションとは何か (その4)
7 場モデル
8 モチベーション心理学の挑戦

今日のところで、第1章が終わる。まずは「場モデル」の説明の後、「モチベーションの心理学の挑戦」として、引き続く章につなげている。


7 場モデル

「場モデル」とは、人と環境(他者を含む)との間で生じる相互作用に着目した説明原理である。
人の行動は、動因(押す力)、もしくは誘因(引く力)だけで生じるわけでなくまた、行動の原因も一つとは限らず、一つの原因が複数の行動を起こすこともある。

われわれのモチベーションは、その時点で同時に存在する複数の具体的な事象によってダイナミックに生み出される複雑な現象なのである。(抜粋)

モチベーションをこのようにダイナミズムとして描こうと、レヴィンは「場の理論」を提唱した。
彼は、行動を人と環境の相互作用によって生じるとして、レヴィンの公式

レヴィンの公式:

B = f(L)
すなわち
B=f(P,E)
B : 行動
L : 心理学的生活空間=その時の「場」
E : 心理学的環境
P : Eに反応する当人

とモチベーションを定式化した。行動は、その時の「場」によって規定され、それも環境と当人の関数で表される。

モチベーションに関しては以下のように説明される。すなわち、「場」のバランスが崩れて、不安定になると当人の要求(衝動、意図)などによって緊張が高まり、その結果、接近行動や、回避行動が生じ、採取的に、「場」に均衡が回復するというプロセスになのだという。(抜粋)

このように、モチベーションという複雑な現象を、動因、誘因モデルや接近 – 回避モデルを踏まえつつ、丁寧に説明しようとしたものが「場の理論」である。

8 モチベーション心理学の挑戦

現代の心理学では、第1章で解説された各モデルをもとに、モチベーションを「人と環境の相互作用」のプロセスや結果と位置づけている。

しかし、モチベーションを理解するには、「場モデル」のように、人と環境を丸ごと捉えるマクロな視座だけでは十分でなく、個体内で生じる心理現象に焦点を当てるミクロなアプローチも必要である。

行動の生起、維持、展開プロセスについて、マクロ、ミクロの両面から統合的に解明しることがモチベーション心理学の課題なのである。(抜粋)

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