[読書日誌]『モチベーションの心理学 : 「やる気」と「意欲」のメカニズム』
鹿毛雅治 著 [全42回]

Reading Journal 2nd

『モチベーションの心理学 : 「やる気」と「意欲」のメカニズム』 鹿毛雅治 著 中央公論新社(中公新書) 2022年
 [Reading Journal 2nd:読書日誌]

はじめに ― やる気と意欲を問う

『ネガティブ・マインド』『無気力の心理学』と読み終わった。そうそうそう言えば、同類の本で『モチベーションの心理学』ってのもあったな、と思った。この本は、モチベーションの心理学を概観している本なのであるが、各論に入ってから今読んでいる部分の立ち位置が、なんだかわからなくなってしまって・・・・・・・、そのままになっていました。せっかくなので、少しずつまとめながら読んでみようかと思いました。


今日のところは、「はじめに」である。まず導入として著者は、我々のやる気に関する悩みは、

  • 「どうしたら自分がやる気になるか
  • 「どうしたら他者をやる気にさせられるか

に集約されると分析している。

その後に「やる気」と「意欲」の違いや「やる気」と「努力」の関係、素朴理論などを概説した後、本書の題名でもある「モチベーション」について解説する。
まず「やる気」であるが、これは「行動を引き起こす原動力」と理解され、「努力」と結びつけて理解される。そして、「自分の経験をもとに信じている理解」「素朴理論」と言うが、我々は、「やる気=原動力」という素朴理論を持っている。
次に「意欲」(=意志+欲求)は、「やりたい」という願望を原動力にして、最後までやり貫こうとする心理現象である。

次に「やる気」にしろ「意欲」にしろその意味や違いよりも「それらの高め方」に人々は関心があるとして、次のように言っている。

世間のニーズに応えるかのように次々と刊行される書物には、「目標を設定せよ」「ご褒美を効果的に使え」「ポジティブに考えろ」といった言葉が躍る。しかし、それらによって問題がすっきり解決されたという声を聞くことはほとんどない。いくつかの「処方箋」によって解決されるほど、単純な心理現象でないからである。(抜粋)

ここより本書の題名にもなっている「モチベーション」についての解説がある。
「やる気」や「意欲」のような日常語と学術用語の「モチベーション」とは明確な違いがあるとして、次のように説明している。

モチベーションの語源は、「動かす」という意味のラテン語movereだという。英語moveもこの語に由来する。モチベーションの心理的な意味については第1章で詳しく述べるが、ここでいうモチベーションの本質が「動き」にあるという点だけを確認しておこう。簡潔にいうなら、人や動物の「動き」を理解することがモチベーション研究の目的であり、その「動き」の説明がモチベーション理論なのである。(抜粋)

最後に本書の目的と構成を次のように説明している。

本書は、モチベーション心理学の入門書である。その目的は、モチベーションに関する代表的な心理学理論を整理して紹介することを通じて、やる気や意欲という身近な心理現象に関する理解を深めてもらうことにある。(抜粋)

構成については、

  • 第1章、第2章・・・導入部として著名な理論を説明する
  • 第3章~第6章・・・各論部として「目標」、「自信」、「成長」、「非意識」を取り上げる
  • 第7章・・・・環境に焦点を当てて「システムと場」のあり方とモチベーションの関係を取り扱う
  • 終章・・・・全体を概観してモチベーションの意味を問い直す

としている。


ここで思うのだが、7章も各論として良さそうなのに、わざわざ内容を説明している。これは、著者が最も重視している部分であり、著者の主張が多く入っているところではないだろうか?まぁ、読んでみればわかるよね♪(つくジー)


目次 
はじめに ― やる気と意欲を問う [第1回]
第1章 モチベーションとは何か
   1 なぜモチベーションが問われるのか  ―  「達成」をめぐって [第2回]
   2 モチベーションへの心理学的アプローチ
   3 モチベーションの2側面
   4 プッシュープル・モデル ― 押す力と引く力 [第3回]
   5 動因モデルと誘因モデル
   6 接近 ― 回避モデル [第4回]
   7 場モデル [第5回]
   8 モチベーション心理学の挑戦
第2章 モチベーション理論の展開
   1 やる気はどのように説明されてきたのか [第6回]
   2 外発的動機づけと内発的動機づけ [第7回]
   3 欲求理論 ― 性格がやる気にあらわれる [第8回]
   4 期待×価値理論 [第9回]
   5 モチベーションの現象学 ― われわれはやる気をどう体験するのか [第10回]
   6 グランドセオリーからミニセオリーへ
第3章 達成と価値―目標説
   1 価値とモチベーション [第11回]
   2 目標とモチベーション [第12回]
   3 目標内容アプローチ [第13回][第14回]
   4 目標プロセスアプローチ [第15回][第16回]
第4章 成功と自尊心―自信説
   1 期待とモチベーション [第17回]
   2 随伴性認知と学習性無力感 [第18回]
   3 自己効力 [第19回]
   4 自己概念とモチベーション [第20回]
   5 自尊心とモチベーション [第21回][第22回]
第5章 学びと発達―成長説
   1 成長へのモチベーション [第23回][第24回]
   2 没頭メカニズム - 集中する、熱中する、夢中になる [第25回]
   3 自己決定理論 [第26回][第27回]
第6章 習慣と態度―非意識説
   1 心理学界に「自動性革命」が起こった [第28回]
   2 習慣 ― 決して目立たない偉大なモチベーション [第29回][第30回]
   3 態度 ― 思わず振る舞ってしまうのはなぜか [第31回]
第7章 場とシステム―環境説
   1 アメとムチの神話 [第32回][第33回]
   2 競争という信仰 [第34回]
   3 ほめればやる気が高まるのか [第35回]
   4 「システム」としての環境 [第36回][第37回][第38回][第39回]
   5 「場」としての環境 [第40回]
終章 「モチベーションの心理学」に学ぶ [第41回][第42回]
謝辞

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