聞く技術 小手先編(前半)
東畑開人 『聞く技術 聞いてもらう技術』 より

Reading Journal 2nd

『聞く技術 聞いてもらう技術』 東畑開人 著
 [Reading Journal 2nd:読書日誌]

聞く技術 小手先編(前半)

前回の「まえがき」にあったように、まずは心理士である著者たちのカウンセリングでのノウハウを「聞く技術 小手先」編としてまとめている。まずは、まずは使える小手先の技術の伝授から始まる。では、読み始めよう。(聞く技術 小手先編は、前半と後半に分けて、まとめる)


著者は、膨大な量の「聞く技術」の本を読みこみ、そして、それらの本が主張しているのとは、

「余計なことを言わずに適切な質問をしよう」に尽きる(抜粋)

と言っている。

そして、それは、日々のカウンセリングの仕事での実感と完全に一致している。しかし、それは結局「程度の問題」になってしまって、何の助けにもならない。なぜならば、みんなが困っているのは、「余計」とか「適切」をどう判断するかであるからである。

そこで、ここではまず、明日からでも使える12の小手先を紹介する。

① 時間と場所を決めてもらう

話を聞くために最も大切なのは、時間や場所と言った設定を決めることである。時間は、しょっちゅう会っていて時間が長いほど深い話が出来る。場所については、二人っきりの空間のほうが深い話ができるが、みんながいる空間のほうが安全である。そのため話をきちんと聞かないといけない時は、相手にどういう場所で、どれだけの時間話すかを相手に選んでもらった方がよい。

「どこで話そうか?」「どれくらいの時間があるといいかな?」と尋ねてみるのが小手先その1。(抜粋)

② 眉毛にしゃべらせよう

話を聞くときは「眉毛が大事」である。これは別に眉毛でなくってもよく、反応がオーバーであった方がいいということで、ようは「反応している」のが大事である。ただし、嘘はダメである。(眉毛は、上げるか、ひそめるか、くらいしか表情が無いため使いやすい)

③正直でいよう
嘘はダメというのは論理的にダメなのではなく、嘘は話を止めてしまうからである。嘘をつくと、こっちが委縮してしまい、話が盛り上がらなくなってしまう。ただし、こちらの気持ちをすべて正直に言うということではなく、言いにくいことについては、黙っておくのはありである。そして、ちょっとでも思っていることを、あえてオーバーに表現する事はありである。

正直でいましょう、馬鹿正直でなくていいから。(抜粋)

④ 沈黙に強くなろう

沈黙は、小手先の王様である。沈黙を増やすだけで、相手の話を聞けるようになる。普通、話を聞こうとしても沈黙を恐れて、聞く方がひたすらしゃべってしまう。そうすると場の雰囲気は保たれるが、話は聞けなくなる。

こちらから話題をふって、それに反応してもらうのではなく、相手から話題を持ち出してもらう必要がある。そのため、気まずい沈黙に耐える必要がある。とりあえず黙って、間を作りましょう

⑤ 返事は遅く

沈黙がどうしても苦手な人に、使える小手先として「返事は遅く」がある。具体的には、相手の話が終わってから話始めるまで、5秒待つ。この5秒で相手のいった内容についてはんすうしたり、何を言おうかと考えたりするのがよい。その時間が沈黙になってくれる。そして、気まずさが超苦手な人であれば、「う~ん」とか言って、考えている雰囲気を出すのもよい。

5秒くらいは相手は待ってくれるものだし、待てない人はさらに話を重ねてくれるものです。そうすると相手のペースで話が進んでいきます。(抜粋)

⑥ 7色の相槌

返事の内容についての小手先としては、とりあえず相槌を打つというものがある。『プロカウンセラーの聞く技術』(東山紘久)には「7色の相槌を打て」と書いてある。7つぐらい相槌があると話を聞かれている感じがする。

原理的にはオーバーリアクションと一緒です。(抜粋)

相槌が変わることによって、心がちゃんと反応していることが伝わる。

⑦ 奥義オウム返し

これは相槌の応用編で、相手の話を繰り返す小手先である。

相手が何を言っているのかわからないときとか、沈黙が苦しいときとか、5秒考えても何も思いつかないときとか、使うとよい。(抜粋)

ただし、これは、奥義なので危険もある。小手先臭がはんぱなく、奥義を連発するとバカにしているのかと怒られることがある。普通に返事が出来るときは普通に返事をした方がよい。また、著者の場合は「〇〇ということで合ってる?」と応用したりしている(オウム返し改)。

(次に⑧「気持ちと事実をセットに」より後半へ)


関連図書:東山紘久(著)『プロカウンセラーの聞く技術』、創元社、2000年

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