支援するリーダーと組織というクライアント(前半)
エドガー・H・シャイン 『人を助けるとはどういうことか』より

Reading Journal 2nd

『人を助けるとはどういうことか』 エドガー・H・シャイン 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]

⑧ 支援するリーダーと組織というクライアント(前半)

ここから「⑧ 支援するリーダーと組織というクライアント」が始まる。前章「⑦ チームワークの本質とは?」(”前半“と”後半“参照)では、チームワークとチーム・ビルディングについて学んだ。それに続いて第8章では、「リーダーの役割」「組織を支援すること」つまりコンサルタントとして、リーダーや組織自身をどのように支援するかという問題が取り上げられる。

第8章は、”前半“と”後半“に分けてまとめることにする。それでは読み始めよう。


リーダーシップの支援には3つの面がある。

  1. リーダーシップの重要な役割は、チームワークのための環境を作り出すことである。
  2. 組織のリーダーシップの場合、部下は支援を受けなければならない場合がある。
  3. リーダーを支援するにはどうしたらよいか。

ここで問題なのは、誰がクライアントなのかということである。

コンサルタントがグループのリーダーへ支援する場合

組織開発のプロセスの支援者、コンサルタントが「組織を支援する」ことと「リーダーを支援する」ことは、支援関係の中でもっとも複雑な二点である。

コンサルタントの支援は、グループのリーダーと一対一の支援だが、リーダーはほかのグループのメンバーに影響を与えようとする。クライアントであるリーダーは指示を下す場合が多く、そして支援の中にいない組織の他のメンバーを含んだプログラムの実行に支援を求めることもある。

その場合、コンサルタントは、リーダーの目標がグループを含めた変革であることを知っているが、変化の結果、そのグループにどんな影響が起こるかがわからない。

支援者が対処する相手はじかに接しているクライアントだが、究極のクライアントとして考えなければならない、見知らぬ人たちに影響を及ぼすのだ。(抜粋)

ここで大切なのは、クライアントであるリーダーに与える支援が、究極のクライアントである彼のグループのメンバーに害を与えないことである。

リーダーがコンサルタントに支援を求める主な動機は、目標達成に必要な変化のプロセスを作り出すことである。

グループに変革をもたらすためには、リーダー自身がコンサルタントの支援を受け入れ、リーダー自身が組織の支援者になることを学ばなければならない

変革のマネージメントの核は支援なので、リーダーは対象とする相手をクライアントにすることを学ぶ必要がある。しかし、ここで難しいことは、クライアントが自発的に支援を求めるまで、誰も変えられないということである。

リーダーは、グループのメンバーに必要な目標を明確に心得ていてその目標に達成するために準備が出来ている必要がある。それは資源やガイダンス、フィードバック、助言のみならずメンバーが求めている別の形の支援の形もある。

ここで、大切なことは、リーダーはメンバーから支援を求められたときに、プロセス・コンサルタントの役割となり「控えめな質問」から始めることである。よくあるのは、ここでいきなり専門家や医師の役割を演じてしまう罠は待ってしまうことである。

実践するうちに出てくるズレの問題

グループや従業員は、どんなに仕事に正確に仕事が支持されていても、自分の個性を表わす取り組み方を考える。そのため、それがそのグループの規範や伝統に発展する。このような現象が実践するうちに出てくるズレプラクティカル・ドリフトという現象である。

そのため、新しくリーダーになった人は、そのグループの伝統やこの実践するうちに出てくるズレプラクティカル・ドリフトを理解するまで、どのような変化も起こさせない必要がある。リーダーは質問してグループとの間に支援関係を確立し、信頼を築く必要がある。

このようなプロセスの本質は、相互作用的な任務を容易にする関係を築きながら、メンバーは自分が掌握している仕事に一つずつ取り組むということだ。(抜粋)

このように、リーダーはグループの文化に真摯に関わりながら、支援の受け入れ方を学び、進歩が認められる部分に関してはグループ一人ひとりに支援を与える必要がある。

企業を支援するコンサルタントの問題

上級管理職の多くは支援の方法を学ぶことを通じて、成果をあげる管理職に変わる力を持っている。(抜粋)

しかし、実際は自分の肩書と権力のせいで、プロセス・コンサルタントの役割を担う前に、専門家や医師の役割になってしまう

ここで著者は、企業のCEOから組織の問題点を調べることを依頼されたコンサルタントの例を具体的に示し、企業のコンサルティングの複雑さ難しさを解説している。

企業の問題点を調べるコンサルタントは、もしその結果がCEOに関するものがあっても、CEOを支援することはできない。それは、CEOは、自分についての支援を求めていないためそのようなフィードバックする資格がコンサルタントには無いからである。そして、もしそのような頼まれもしないフィードバックをしたところで、クライアントが自発的に支援を求めない場合は、その支援はあまり有効ではないという原則に反するため、失敗に終わることが多い。

このような場合は、CEOはコンサルタントの報告に丁寧に耳を傾けたあと、そのコンサルタントを解雇し、報告書をゴミ箱に捨て、新しいコンサルタントを探す、ことになる。

支援のプロセスを理解しているコンサルタントなら、最初に与えられた任務をそのまま受け入れようとはしない。その代わり、CEOとの支援関係を築くために考えられた質問のプロセスを実行し始めるだろう。(抜粋)

コメント

タイトルとURLをコピーしました