控えめな問いかけ(その1)
エドガー・H・シャイン 『人を助けるとはどういうことか』より

Reading Journal 2nd

『人を助けるとはどういうことか』 エドガー・H・シャイン 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]

⑤ 控えめな問いかけ(その1)

今日から「⑤ 控えめな問いかけ」に入る。前章の「④ 支援の種類(前半)(後半)」では、支援者が選択できる役割である「専門家」「医師」「プロセス・コンサルタント」について解説され、そして支援の初期段階から「専門家」や「医師」の役割を選んだ場合は、「罠」にはまり支援がうまくいかないことが多いことが説明された。そのため、支援を成功するためには、どんな状況でも、最初は「プロセス・コンサルタント」の役割を演じる必要がある。そして、その「プロセス・コンサルタント」の役割において中心となるのが本章の「控えめな問いかけ」である。

「⑤ 控えめな問いかけ」は3つに分けてまとめるとする。“その1”では、「控えめな問いかけ」の役割、“その2”で、問いかけの種類について、そして“その3”でそれぞれのタイプの問いかけを使うタイミングについてある。それでは読み始めよう。

「控えめな問いかけ」の重要性

支援を成功されるためには、支援者とクライアントの社会的地位を釣り合せるコミュニケーションのプロセスが必要である。初めのうちクライアントは、ワン・ダウンの地位にいて、しかも問題を抱えているということでさらに価値の無い存在となっている。この時支援者は、何か価値のあるものクライアントに与え社会的地位を引き上げることが必要である。

支援を与え、寛大な態度で、自信を強めさせるようにこのダイナミックに取り組むのは支援者の役目である。最初の介入は、私が「控えめな問いかけ」と呼ぶものでなければならない。(抜粋)

ここで著者は、この「控えめな問いかけ」としての例を「道をたずねられた時」「子供が宿題を手伝ってほしい言った時」「患者が看護師に手伝いを求めた時」「パソコンのコールセンターでの対応」「自殺防止ホットラインの事例」などを紹介している。

特に最後の「自殺防止ホットラインの事例」は、著者自身も感銘を受けたと言っている。

彼の話によると、自殺志望の患者にこう尋ねたという。「あなたのすべてが自殺を願っているのですか。それとも、あなたの中には自殺を望まない部分がいくらかでもあるのでしょうか。ちょっとでいいですから、自殺を望んでいないあなたの部分と話をさせてください」。言うまでもなくこの目的は、自分にはもっといい部分、自信を持てる部分があるとい患者に気づかせることだ。(抜粋)

支援者は「控えめな質問」により情報を得ることで

  1. 何か重要なことを知っているという役割を与えて、クライアントの立場を確立すること
  2. その状況への関心や思い入れを伝えて、一時的なものであるにせよ、人間関係を築く意欲を高めること
  3. 重要な情報を得ること

を達成する。

これにより支援者は次に何をすべきかわかる。そして、さらに情報を得ることを試みることで、時期尚早に専門家や医師の役割となり支援の罠に陥ることが防げる。

問いかけの種類

問いかけとは、具体的な振る舞いと同様に、ひとつの態度である。(抜粋)

ここで著者は、プロセス・コンサルタントの役割をする支援者もその役割の演じ方を選ぶことができるとしている。その選択肢として四つの問いかけの種類があるとしている。それは

  1. 純粋な問いかけ
  2. 診断的な問いかけ
  3. 対決的な問いかけ
  4. プロセス思考的な問いかけ

である。

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