「いらない不動産」(前半)
牧野知弘『負動産地獄』より

Reading Journal 2nd

『負動産地獄 その相続は重荷です』 牧野知弘 著
 [Reading Journal 2nd:読書日誌]

第3章 いらない不動産(前半)
   どうにもならない地方の実家
   郊外ニュータウン一戸建て住宅相続
   老朽化マンションという置き土産
   どうするのか、使わなくなった別荘、リゾマン

第3章は、いよいよいらいらない不動産、いや負動産もしくは腐動産の話。相続すると困る不動産はどのようなものかを説明している。


どうにもならない地方の実家

戦後より1975年頃にかけて多くの人が地方から都市部へ移動し、その頃やってきた地方の若者も、都市郊外に家を買い求めてきた。そして、相続した地方の実家は、その多くが空き家になっている。著者は、これを「第一世代空き家」と呼んでいる。
このような実家は、地元に流通マーケットがすでになく、売ろうにも売れないものになっている。と言っている。そして、固定資産税はそれほどの負担ではないが、維持管理費は大きな負担となる。さらに子供世代ならばまだしも孫世代に相続された場合は、どうにも扱いに困る存在となってしまう。

このような状況に際して、著者はこのように忠告している。

需要が減り続けているエリアでの不動産はとにかく早めに、どんな値段でも売れる間に「売る」に限るのです。(抜粋)

郊外ニュータウン一戸建て住宅相続

1970年代前半以降に都市に集まる人の受け皿として都市郊外に新しい住宅地(ニュータウン)が多く造られた。そして、そのニュータウンに住居を求めた人たちはおおむね80歳から90歳になり、その子供たちは50歳から60歳になる。そのため相続が多く発生しているが、子どもたちもすでに自分でマンションなど居を構えている。そのような子供たちが家を相続しても、すでに住宅の需要はなく「売れない」「貸せない」「住む予定がない」の三重苦となり、固定資産税と家の管理という負担だけが残る。
これを著者は「第二世代空き家」と呼んで、これから大都市郊外で大量に発生するとしている。

老朽化マンションという置き土産

マンションは、1956年に初めて分譲されて以来多く建てられ、今では日本の住宅の一割を超えるほどになった。このうち約15%は、1981年に以前に建てられた旧耐震建物である。そしてこの1981年以前のマンションの所有者はすでに80歳から90歳になりっている。

つまりこれから発生する多くの相続が、旧耐震設計下のマンションが対象となることを意味しているのです。(抜粋)

このような旧耐震設計のマンションは、人気がない。また、築40年を超えるようなマンションでは建物の老朽化問題も課題である。
このようなマンションを相続して「貸せない」「売れない」となった場合に戸建て住宅以上に厄介なのは、管理費、修繕費を相続人が払い続けなけらばならないということである。

どうするのか、使わなくなった別荘、リゾマン

相続財産のうち最も評判が悪い財産として、親が残した別荘、リゾートマンションがある。平成バブル期にこのような別荘やリゾートマンションが大人気となった。
このような別荘、リゾートマンションも築30年を迎え、相続が発生し始め、多くの人がその取扱いに苦慮している。多くの別荘地は独自の管理費を設定していて、リゾートマンションでも管理費や修繕費の支払いが必要である。現在、別荘は数百万にならない物件もあり、リゾートマンションでは数十万で売り出される状態である。

コロナ禍以降、リモートワークが定着し、都市部を離れ、別荘地やリゾートマンションに定住する人たちも現れ始めています。相続に困り果てている人たちにとっては、干天の慈雨です。自分が使わないのであれば早めに処分することが肝要です。(抜粋)

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