『文章の書き方』辰濃 和男著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
<平均遊具品>の巻 — 平 明(1)
ここから<平均遊具品>の巻、ここでは、文章の基本について書かれている。まず、文章の基本の最初として著者は、「平明」についてこの章と次章で解説をする。
著者は、わかりやすさは文章の基本であるという。このことを『福翁自伝』を例に挙げ解説している。
福沢諭吉の文章の特徴は、「平明」である。そのため万人に読まれ、万人に読まれたからこそ筆が力になった。福沢諭吉の文章からその秘密を著者は5つの観点から解説している。
- 身の丈に合った言葉を使う
やさしい文章を書くためには難しい漢字を使っては、いけないと福沢は戒めている。
「文章を書くには、むつかしき漢字をば成る丈け用いざるよう心掛けることなり」(抜粋)
- 絵画的表現
福沢の文章は、書かれていることがそのまま絵になって思い浮かべられるように書かれている。
- 比喩のうまさ
福沢は読み手にとって未知のことをよく知っている事柄を使って上手に説明することにたけていた。
- 口説き上手(論理の明快さ)
福沢は「つじつまがあう」とことを大事にしていて、文章の論理も極めて明快である。
- 「世の人に何としても伝えたいという情熱」
福沢の文章の明快さの底の底には、「世の人に何としても伝えたいという情熱」があることを忘れてはいけない。その情熱があるから文章は力を持つのである。
この「世の人に何としても伝えたいという情熱」について、次章でもう少し考える。
関連書:福沢諭吉(著)『福沢諭吉選集⑩』「福翁自伝」岩波書店、1981
福沢諭吉(著)『新訂 福翁自伝』岩波書店(岩波文庫)、1978
福沢諭吉(著)齋藤 孝 (翻訳)『現代語訳 福翁自伝』筑摩書房(ちくま新書)、2011
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