『文章の書き方』辰濃 和男著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
<整正新選流>の巻 — 正確
新聞記者であった著者は「新聞の記事は正確を期さなければならない」と文章を始める。
ものごとを正確に伝えるのは極めて難しく、より正確な文章を書くことを心がける必要がある。
念を入れて確認すれば不注意から来る間違えはある程度防げるが、本当に怖いのは、それとわからぬまま不正確な文章書くことである。また、安易に孫引きすることも不正確な文章に繋がる。
「具体性」の節(ココ参照)で論じたように「十把一絡げ」の発想も怖いという。
ものごとを十把一絡げにして断じると、切れ味が鋭くなるが、正確さを犠牲にしていることも多い
作家の永井龍男は、「正確な文章」という一文でこういっている。
「文章の目的は、うまいことにあるのではなく、『正確』な表現でなければならない、その人の思想、感情を出来るだけ正確に表現するのが文章の目的である。」
・・・・・中略・・・・・・
「うまい文章を書こうと努力するのは、まちがっている。正確な文章を書こうとすることこそ、根本だと私はいう。
それならば、正確な文章を書く秘訣とはなにかということになる。
秘訣は、文章にあるのではなく、表現したい思想なり感情を、しっかりとつかむことにある。表現したいものを、表からも裏からも、前からも後ろからも観察して、しっかり自分の手につかむ。
それから筆をとれば、文章は正確たらざるを得ない」(抜粋)
しかし、どんなに正確な文章を志しても、完全に正確な文章を書くことは難しく、謙虚に一歩一歩近づくしかない。
「正確な文章」に終点はありません。
私たちは終着疫のない旅をづけなければなりません。(抜粋)
引用部:永井龍男(著) 『雑文集 ネクタイの幅』講談社、1975年
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