『あなたを変える行動経済学』 大竹 文雄 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
第3章 先延ばしの心理
今日のところは「第3章 先延ばしの心理」である。第3章では、将来のことに対しては合理的な判断ができるのに「今」のことにあると現在のことを優先して先延ばしにしてしまうこと・「現在バイアス」について説明されている。私たちは、このようなバイアスの存在を理解し、その対策をとる必要がある。それでは読み始めよう。
先延ばしと「現在バイアス」
われわれには、将来の計画は合理的に立てられるのに、現在のことに対しては、楽しみなどを優先してしまい、先延ばししてしまう傾向がある。この傾向を「現在バイアス」と呼ぶ。
老後のための貯蓄
著者は、この「現在バイアス」の説明を、貯蓄を例にして行っている。
まず、どのようにしたらお金を貯められるかを考える。伝統的経済学では、次のように考える。
人は生活水準が変動することを嫌う。そのため所得が高い時に貯蓄し所得が低い時にそれを取り崩せば生活水準を一定に保つことができる。そのため、生涯の所得パターンを予想して、それを平均化して毎月の消費額を決めて、その時々の所得と決めておいた消費額の「差額」を貯蓄することである。こうすれば老後になっても生活水準を落とさなくても済む。伝統的経済学では、これを「ライフサイクル仮説」or「恒常所得仮説」と呼ぶ。
しかし、この仮説では人は将来について我慢強い意思決定ができることが前提となっている。人は所得に余裕がありお金を貯蓄できるときに、貯蓄を先延ばししてしまう傾向がある。つまり「現在バイアス」の影響を受けてしまい、貯蓄を先延ばししてしまう。そのため老後の貯蓄ができないという結果になってしまう。
ここで著者は、老後貯蓄が足りないことを防ぐ確実な方法があると言っている。それは「所得が多いときも少ないときも一定額の貯蓄をつづける」ことである。これは、「ライフバランス仮説」から考えると非合理であるが、確実に貯蓄を貯めることができる。
一見非合理に見える貯蓄方であるが「現在バイアス」を前提とし将来の自分が誘惑に負けることを予期したルールを設定する方が偉い選択となる。
現在バイアスを理解して計画する
われわれには「現在バイアス」があるため計画を立てる時には、「現在バイアス」の影響を理解し行う必要がある。
たとえば勉強の場合は、「現在バイアス」の影響で、今日は調子が悪いと先延ばししてしまう傾向がある。そのため、調子がいいときも悪いときも「○○時間」と決めて実行すると効果が上がる。
毎日、「○○問」問題と解くというやり方もあるが、その場合は、調子のよいときは早く終わって勉強時間が短くなってしまう。しかし、それでも確実に毎日○○問解けるというメリットがある。
勉強は調子がいいときにたくさんやって、悪いときは休む、所得が高いときにたくさん貯金して、所得が低いときには貯金しないというのがベストだけども、「現在バイアス」があるとそれができないので、勉強時間を決めるとか、毎日問題を解く数を決めるとか、所得の高低にかかわらず一定額を貯金するというような次善の策をとったほうがいいということです。(抜粋)
コメント