『悪文 伝わる文章の作法』岩渕 悦太郎 編著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
敬語の使い方(その1)
皇室敬語の今と昔、敬語の三種と、そのきまり
『悪文』最終章は、敬語の使い方についてである。今日のところは皇室敬語の変遷と敬語三種(丁寧、尊敬、謙譲)の定義と作り方である。
皇室敬語の今と昔
昭和二十七年に国語審議会は『これからの敬語』を決議した。これは、これからの敬語についての方針をまとめたものであり、必要以上に煩雑だった敬語を、誤用を正して、出来るだけ平明・簡素にしたものである。
ここは、まず皇室敬語を例にとって、この方針により変わったかを示している。
そして
ここでは、敬語の使い方に関する“悪文”として、実際の文章の中から、敬語のつけすぎ・敬語の誤用・敬語の不足・文体の不統一などを実例を拾い出して、検討する事にしよう。(抜粋)
と本章の目的を示している。
敬語の三種と、そのきまり
まず敬語には、丁寧・尊敬・謙譲の3種があり、その定義は、
- (1)話し手と話し相手との関係で変わる言い方・・・・・丁寧
- (2)話し相手には関係なく、話題の中の人物を話し手がどう待遇するかで変わる言い方
- (A)動作の主または状態の主を高めて待遇する言い方・・・・尊敬
- (B)操作の関係する方向を高めて待遇するための言い方・・・・謙譲
である。そして「丁寧」「尊敬」「謙譲」は次のように作る。
「丁寧」の言い方:
- (1)「ます」「です」「ございます」を使う
- (2)丁寧の意を含んだ特別な語を使う。(例:ぼく わたし・・・)
- (3)接頭語の「お」「ご」などをつける
「尊敬」の言い方:
- (1)「れる」「られる」を使う。
- (2)「お・・・・になる」「お・・・・なさる」「お・・・・・くださる」などの形を使う。
- (3)尊敬の意を含む特別な語を使う。(例:尊父 令息 など)
- (4)尊敬の意を含む接頭語・接尾語を使う。
「謙譲」の言い方:
- (1)「お・・・・する」「お・…申す」「お・…・申しあげる」「お・・・・いたす」の形を使う。
- (2)謙譲の意を含む特別な語を使う。(例 申す、申し上げる・・・・・)
- (3)謙譲の意を含む接尾語を使う
コメント