『作家の仕事部屋』 ジャン=ルイ・ド・ランビュール 編
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
J・M・G・ル・クレジオ – 私は夢を見ないために、苦しまないために書く
J・M・G・ル・クレジオ (J.M.G.Le Clézio) は、長短編小説のほかエッセーなどを書いた作家である。彼の作品は《フィクションの形而上学》と評され、単に伝統的文学のみならず、現代西洋文明の基礎そのものに疑問符を投げかけている。彼は二〇〇八年にノーベル文学賞を受賞した。
仕事の方法
仕事の方法というものは持ち合わせていない。自分は書物を、冒頭から終わりまでボールペンで一気に書く。21×27の大判の白い原稿用紙を使ってびっしりと余白無しに書き、ほとんど抹消もしない。そして、書きあげてからその全体をタイプする。
プランに関しては、文章の形に練りあげることはできないが、プランがないわけではない。そのプランはものを言わぬ形で自分の中に隠されている。そして一冊の書物を書きあげるまでにその熟成に時間をかけている。
仕事をする際の時間割など、何を意味しているか分からない。何かを書くのが不愉快な時もあれば、どうにも抑えがたい欲求を感じることもある。ふつうはそのような欲求を感じるのは朝であるが、真夜中に書きたくなることもある。
突然なにかが私を動転させ、すぐにそれを紙のうえに吐き出さなければ、その夢に苦しみそうだと感じるのです。そこで私は机に向かい、二時間か三時間、一気に書き続けます。(抜粋)
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