効果的な外国語学習法(前半)
白井恭弘 『外国語学習の科学』より

Reading Journal 2nd

『外国語学習の科学』 白井恭弘 著
 [Reading Journal 2nd:読書日誌]

第6章 効果的な外国語学習法 (前半)

今日からいよいよ最終章・第6章「効果的な外国語学習法」である。

最終章では、これまでの第二外国語習得(SLA)に関する研究成果にもとづいた。外国語学習の効果的方法を具体的に見ていくことにしましょう。(抜粋)

ここでは、主に個人的に外国語学習をしている人を対象にしているとのことである。

第6章は、”前半“と”後半“の二つに分けてまとめることにする。まず”前半“では、個々の学習項目の学習法について、そして”後半“では、学習ストラテジー、学習プログラムと、本書の全体のまとめ「おわりに」をまとめる。それでは、読み始めよう。

インプットの方法

インプット(聞くこと・読むこと)を理解するためには、背景知識が重要である。そのため著者は、「自分の興味があってよく知っている内容を、読んだり聞いたりするといいでしょう」と勧めている。自分がよく知っている分野であれば、外国語能力が足りない部分を推測で補うことができ、推測することにより知らない単語も習得される。また興味がある分野ならば、動機づけも高まる。

リスニングの方法

リスニングについっては、「二〇パーセントしかわからないような教材を聞くより、八〇パーセント以上わかる教材を何度も聞いたほうが効果があります」としている。また二か国語放送のばあいは、1回目外国語、2回目日本語、3回目外国語のように聞いたりすると、理解度が上がる。リスニング教材にスクリプトがあれば、聞き取れなかった部分を文字で確認してから、もう一度聞いたり、同じ教材をリスニングとリーディング両方に使ったりするのも有効である。

外国語「を」勉強するのではなく、外国語「で」情報を入手するレベルまで、なるべく早く到達するように努力することが大事である。(抜粋)

また、ほとんどわからない教材でも聞かないよりは聞いた方がよいとしている。

初級レベルで、何をやったらいいかよくわからないが、とりあえず何か始めたい、という方には、昔使った中学校や高校の教科書のテープを聞くことをおすすめします。(抜粋)

例文やダイアローグの暗記

例文暗記は人気がなくなっているが、日常言語のかなりの部分は決まり文句で構成されていて、第二言語のデータベースを増やしてより自然な表現を身につけられるというメリットがある。そのため「よく使う表現や、例文、ダイアローグなどを暗記することは効果的」である。また、できれば単文でなく、ダイアローグの方が社会言語学的能力が身に付き効果的である。

アウトプットの方法

アウトプットについて、著者は

アプトプット(話すこと・書くこと)は、毎日少しでもやるべきです。(抜粋)

と言っている。

アウトプットの方法

その方法については、

  • 日記をつける
  • ひとりごとを録音
  • 外国語学習仲間と電話で話す
  • 会話学校や英会話喫茶などに通う
  • インターネットでチャットする
  • 教材を読んだり聞いたりしたあとで、その内容について外国語でコメントする

などをあげている。

そのような活動を通して、「頭の中で外国語でリハーサルをするようになれば、しめたものである」。また、アウトプットする時には、「正確さと流暢さ」のバランスをとるようにするとよい。

コミュニケーション・ストラテジーの使用

実際に話すときは、「コミュニケーション・ストラテジー」(=外国語で話していて何かコミュニケーション上の問題が起こった時に、それにうまく対処するために使うストラテジー)を使うとよい。コミュニケーション・ストラテジーには、次のようなものがある。

  • 時間稼ぎストラテジー:次にいうことを考えている時“well … um … /you know … /what do you call it … /Let’s see/ let me see”などのつなぎの言葉をいれる。
  • パラフレーズ:言いたい単語が思いつかないときに、別の簡単な表現で言い換える
  • 回避ストラテジー:あまり得意でないトピックスが出た時にそれを避ける。(Oh, by the way…、などと言って話題を変える)
このようなストラテジーは、いくつかの決まった表現を使えるので、自分の勉強している外国語でどのように言えばいいか、前もって調べておいて、会話練習の時に使うとよいでしょう。それだけで、ずっと会話が楽になります。(抜粋)

単語の覚え方(無意味学習から有意味学習へ)

外国語の単語を覚える時に大変なのは、それが丸暗記するしかない「無意味学習」だからである。そのため、それを自分の持っている知識と関連づけて「有意味学習」にすることが出来れば効率的である。そのような方法として、

  • 語呂合わせ
  • 絵を使って覚えさせる教材を使う
  • 単語を、文脈のなかで覚えるようにする。(単語以外のコンテクストがサポートとなり単語の意味がある程度推測できる)
  • 接尾辞、接頭辞を使って派生語を覚える

などがある。

単語を文脈で覚えることについては、「意識的に語彙を文脈の中で覚えるようにする」ことが大切であり、その為には「知らない単語は、なるべく推測し、それから、辞書や単語リストで確認する」ようにするようにするとよい。また、単語を文脈の中で覚えるようにすると、意味以外にコロケーション(前後にどのような単語がくるか)や、文法的情報も同時に覚えられる。

発音・音声の練習法

音声に関しては、難しい発音などを確認し意識的に練習する。練習方法としては、発音、リズム、イントネーションを正確にまねてリピート、シャドーイング(外国語の音を聞きながら少し遅れて同じように言う練習)をするとよい。

ここで、注意したいのは、大人の場合は完全な発音を身につけることはほぼ無理ということである。しかし、日本人英語でいい、通じればいい、という目標では、それさえ達成できないので、なるべくターゲットに近づける努力をして、しかしそれが出来なくてもがっかりしないことである。

また、外国人が不快に感じないという観点では、ここの音よりもイントネーションやリズムが重要である。

必要な文法事項

アウトプットするための文法事項としては、「基本的なものについて、文をつくれるレベル(アウトプットできるレベル)までマスターする」ことが大切である。余裕があればインプット理解のために、もう少し高度な文法も習得する。ただし、説明を読んでも理解できないような難しい文法は無視しても良い

動機づけを高める

動機づけを高めるため工夫も有効である。それは、「統合的動機」でも「道具的動機」でも構わない(ココ参照)。具体的な方法としては、

  • 授業をとる
  • 授業をとる
  • 好きな内容の教材を使う
  • 資格試験を受験する
  • 外国語でブログを書く

などがある。また、外国のこと全般、自分の学習している言語を話す人々の文化に興味を持つと、その内容についてのインプットの理解が高まり、相乗効果で動機づけが高まる。

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