『プロカウンセラーの聞く技術』 東山紘久 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
5 相づちはタイミング
相づちとは、もともと鋼を鍛えるときの相方の打ち出す槌である。話を聞いている時の相づちもやはりタイミングが大切である。話し手の話すリズムをつかみ、それに合わせて相づちを打つ、それはそんなに難しいことではない。
話を深める相づち
そして、相手の話を深めるか、そのまま終わりにするかも、相づち一つでコントロールできる。日常会話では、話を深めないような配慮が自然となされている。プロカウンセラーは、これを逆の技術に使って話を深めている。
通常の日常会話での相づちは、話を深めないような形で行われるが、この相づちを少し変えるだけで話が深まっていく。
日常会話とは別に、子どもや配偶者との間で真剣に話を深めなければならないこともあるが、なかなか深められないことが多い。その失敗の第一は、相づちのタイミングが悪いことで起こる。
ではどのようにすればいいでしょう。話は簡単なのです。相づちを話を深めるモードにします。話を深めるモードとは、会話の流れに逆らわないことです。話をよく聞いている、すべて受容していることが伝わる相づちを入れるのです。(抜粋)
つまり、「相づちの種類は豊かに」のところで説明されたように「そうそう」「そうね」「本当。本当」「なるほどね」などを使うようにする。すると話しては思わず本心を吐露する会話になる。そして、このような会話は、相手が言いすぎたと思って会話を切り上げたときに終わるが、聞き手はその時にこの話題を止めるのが、人間としてのルールである。
6 避雷針になる
プロの聞き手は、忘れてしまう
プロのカウンセラーは、一日一〇人以上の人に会うことがある。そのため、ふつうの人と同じような聞き方をしていては、他人の秘密が頭の中にたまって大変なことになってしまう。そのためにカウンセラーの人は、「確固たる人格に自分を鍛える」とともに話の内容を「忘れてしまう」。もちろん、次に相談者が来た時には、ちゃんと思いだせるように訓練されている。
カウンセリングは避雷針である
著者はプロの聞き手は、雷の時の「避雷針」のようなものであると言っている。避雷針は、雷を避けるのではなく、落ちてもらう施設である。そして、そのエネルギーを地中にうまく流して無害化する。
プロの聞き手は、ぐちでも、怒りでも、来談者のたまった感情を吐き出してもらうようにしますが、それを全部自分の身にためていたのでは、自分が焼き切れてしまいます。そこで自分のなかにためこまずに、自分を通して、外に流し出すようにするのです。(抜粋)
「ぐち」を聞くことの意味
この溜まった感情の中身は、じつは「ぐち」のたぐいが多い。そして、この「ぐち」は、聞き手とかけ離れたことが多い。そのため「ぐち」は聞き方によっては、いちばん楽に相手のストレスを取る効果がある。
「ぐち」の聞き方で大事なポイントは、
- 積極的に聞いてあげること
- ぐちを自分の心の中に入れないこと(うわべだけ聞くということではなく、自分の気持ちとそのぐちを関係させないということ)
- ぐちの対象になっている人をかばわないこと
- 親身になってあげること
である。
ぐちの聞き方は避雷針と同じです。自分にぐちを積極的に落としてもらうのです。そして自分の心のなかにためこまず。そのまま地中に吸収させるのです。そのほうが、ぐちを言っているほうも楽なのです。(抜粋)
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