『文章の書き方』辰濃 和男著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
<広場無欲感>の巻 — 意 欲
良い文章を書くには、どうしても書かなければならないという“意欲“が大切である。胸にたまっていることが書こうとすることで次第に明確な形が整い言葉が整って来る。この意欲は、好奇心によって生まれる。好きなことに集中しているうちに何かの文章に書きたいという意欲がわいてくる。ここでは、山田太一の話を抜粋する。
テレビドラマでもおなじみの山田太一がこういうことをいっています。
「大学が素晴らしいのは、短い間にせよ、有用性から解放される時期があることだと思う。(略)大学へ入ってまで『役に立つ』勉強ばかりしていてはもったいないと思う。有用性から解きはなたれて、自分が本当はどんなものに関心を持っているかを知るチャンスと思う。そして、なにか一つ、傍目にはくだらなく思えるものでもいいから、深く好きになることだと思う。そういうことで、どれだけ魂みたいなものが育つか分からないと思う」
山田はさらに、何か一つ、自分が本当に好きになるものを発見することだ、なければ無理にでもつくって、それに集中することだ、心から好きになるもの好きになることがなにもないというのははずかしいことなんじゃないか、とまで言っています。(抜粋)
引用部:山田 太一 (著)『いつもの雑踏いつもの場所で』、新潮社(新潮文庫) 、1988
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