エルンスト・H・ゴンブリッチ 『若い読者のための世界史』
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
一四 歴史の破壊者
第13章でローマとハンニバルの戦いが出てきたが、第14章はそのころの中国での話、秦の始皇帝の話が書いてある。
まず著者は、このように話を始める。
さてここまできて、きみは歴史にたいくつしたかね。それなら、ここでの話にはきみはきっと大よろこびするだろう。(抜粋)
ハンニバルがイタリアにいた紀元前二一三年にすべての書物を焼き尽くしてしまえという命令が一人の皇帝により下されたとしている。
それが、秦の始皇帝である。中国のいち豪族であった秦は、中国全土を征服し他の豪族を滅ぼして巨大な帝国を築いた。彼はそれまでの中国の記憶を根こそぎ消し去ろうとして、あらゆる書物を焼くことを命じ、万里の長城を築いた。
しかし、始皇帝の統治は長く続かず、彼の後にはすぐには別の家系の天子がついた。すなわち漢王朝である。漢王朝では、中国が孔子の教えに多くを負っているとことを思いだし、各地に残る書物を探索して復活させた。そして、政治は貴族でも武人でも聖職者でもなく試験に合格した者が役人により行われている。
著者は最後に文頭の言葉を受けて
このように秦の始皇帝の焚書は、何の役にもたたなかった。ということは、きみがそれをいくらよろこんでも、むだなのだ。たとえだれがわたしたちやきもたちに歴史を禁じても、それは何の益にもならないのだ。何か新しいものをつくろうとする者こそ、古いことを根底からしらなければならないのだ。(抜粋)
と結んでいる。
ついでながら、ここでは焚書について書かれていても、坑儒については書かれていない。やっぱり子どもの本という配慮なのかな?(つくジー)
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