[読書日誌]『若い読者のための世界史』
エルンスト・H・ゴンブリッチ 著 [全41回]

Reading Journal 2nd

『若い読者のための世界史』 エルンスト・H・ゴンブリッチ 著 中央公論美術出版、2004年
 [Reading Journal 2nd:読書日誌]

一 「昔、むかし」

本棚に長いこと、ゴンブリッチの『若い読者のための世界史』が飾ってある。でも、これは全部読んでいないのでした。前にブログを書いていた時に読み始めたんだけども・・・・読み終わらなかった。そしてブログもその頃に終わってしまった(ちょっと残念)。
よし、ではまた読み始めようかなと思った。
ちなみに、この本はすでに文庫本で出ているみたいよ、しかも改訂版だって。(つくジー)


この本は、名著『美術の物語』で有名な、ゴンブリッチによる世界史の本である。この時、ゴンブリッチは若干25歳!優秀な人は若い時からやっぱり違うね、とか思った。この本を買った理由を思い出すと帯に抜き出してある [訳者あとがき] の一文を読んだからである。

この「歴史」を今日あらゆる批判に耐えうるものとしているのは、著者による長い「50年後のあとがき」です。半世紀たって著者もまた、この書がたんに若者だけの読み物ではなかったことに気づきました。もはや、「きみ」と読者に話しかけることはありません。旧著の学問的不完全さを補い、あるいは、あえて自身のかつての見解も正しながら、自身歴史にほんろうされ故国を棄てざるをえなかった著者は、25歳の青年の夢をむざんに打ち砕いたその後の50年を透徹した歴史家の目でふりかえっているのです。(抜粋)

この本は、若い読者、小学生、中学生くらいが対象の本で、各章のページも少なく、語り方もすごく優しい。これならば、文章を味わいながら、サクサクと読めそうです。では、50年後のあとがきに向けて読み始めよう!


今日のところは、全体の導入である。著者はまずすべての物語は「昔むかしあるところに」で始まると語り、その「昔、むかし」をどんどんさかのぼっていく。どんどんどんどんとさかのぼると、最後に宇宙がまだガスの雲の間を巨大な星や小さな天体が渦巻いているところまで達してしまう。そして第一章を次のように結んでいる。

「昔、むかし」とさらにさかのぼってゆくと、頭がおかしくなってしまう。さあ、いそいで太陽へ、地球へ、美しい海へ、植物、貝、巨大なトカゲ、わたしたちの山、そして人間たちのところへもどろう。まるでわが家へもどるように、そして「昔、むかし」と、底なしの穴に吸い込まれないために、これからはつねに、「ちょっとまって、それはいつのことなの」と、「いつ」を問うことにしよう。
そしてそのとき、「どうして」と問えば、それは歴史を問うことになる。それは何か一つの歴史ではなく、わたしたちの世界の歴史とよぶ、あの歴史である。さあ、それれはその歴史をいまから語ることにしよう。(抜粋)

関連図書:
エルンスト・H・ゴンブリッチ 著/中山典夫 訳 『若い読者のための世界史 改訂版』 中央公論新社(中公文庫)、2022年
エルンスト・H・ゴンブリッチ 著 『美術の物語』 河出書房新社、2019年

目次 

一 「昔、むかし」 [第1回]
二 偉大な発明家たち [第2回]
三 ナイル川のほとり [第3回]
四 日月火水木金土 [第4回]
五 唯一の神 [第5回]
六 だれでも読める文字 [第6回]
七 英雄たちのギリシア [第7回]
八 けたちがいの戦争 [第8回]
九 小さな国のふたつの小さな都市 [第9回]
一〇 照らされた者と彼の国 [第10回]
一一 大きな民族の偉大な教師 [第11回]
一二 偉大なる冒険 [第12回]
一三 新しい戦い [第13回]
一四 歴史の破壊者 [第14回]
一五 西洋世界の支配者 [第15回]
一六 よろこばしい知らせ [第16回]
一七 帝政のローマ [第17回]
一八 嵐の時代 [第18回]
一九 星夜のはじまり [第19回]
二〇 アラーの神と預言者ムハンメド [第20回]
二一 統治できる征服者 [第21回]
二二 キリスト教の支配者 [第22回]
二三 気高く勇敢な騎士 [第23回]
二四 騎士の時代の皇帝 [第24回]
二五 都市と市民 [第25回]
二六 新しい時代 [第26回]
二七 新しい世界 [第27回]
二八 新しい信仰 [第28回]
二九 戦う教会 [第29回]
三〇 おぞましい時代 [第30回]
三一 不幸な王としあわせな王 [第31回]
三二 その間に東欧で起こったこと [第32回]
三三 ほんとうの新しい時代 [第33回]
三四 暴力による革命 [第34回]
三五 最後の征服者 [第35回]
三六 人間と機械 [第36回]
三七 海の向こう [第37回]
三八 ヨーロッパに生まれたふたつの国 [第38回]
三九 世界の分配 [第39回]
五〇年後のあとがき‐その間に私が体験したこと、学んだこと [第40回]
エルンスト・ゴンブリッチの略歴と代表的著書 [第41回]
訳者あとがき 

コメント

タイトルとURLをコピーしました