『負動産地獄 その相続は重荷です』 牧野知弘 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
第5章 「負の相続」にならないために(後半)
資産になる不動産、ならない不動産を見極める
空き家の価値を上げる方法
知っておきたい空き家売却の基礎知識
いらない土地は国庫に帰属させられるようになる?
ここから、ではどのような不動産が資産になるのかの見極め方、不動産を売るときにどうすれば価値を上げられるかなどを解説されている。
まず、資産になる土地の見極め方として重要なのは、「道路との接続状況」であるという。建設基準法に「幅員4m以上の道路に2m以上接していなければ、新たに建物を建設することはできない」という規定があるためこの条件を満たしていないと建物が老朽化したからと言って新たに建物を建設できない。道路に2m以上接していても幅員が4m取れない場合は、4m確保できるように敷地を後退(セットバック)させる必要がある。その他、地形(ジガタチ)や日当たり、そして周辺環境も大切である。
次に資産となる建物は、建物付きで相続する場合は、相続時までに家財道具を片づけるとよい。まず家の中を片づけて補修すべき箇所を確認する。設備ではエアコンや給湯器は要チェックである。マンションの場合は管理組合に頼んで大規模修繕霊歴をチェックするなど老朽化具合を調べると良い。
そして、資産性が見込めない不動産については、できれば早めに処分して現金化も視野に入れることも必要である。
次に空き家の価値を上げる方法について書かれている。
まず、木造住宅の価値を下げないためには定期的な通風や通水を怠らに事、家電製品や設備も使うのであれば時々動かすなど住んでいた時の状態にしておくことが大切である。これは、マンションなどにも当てはまる。
さらに、空き家の価値を上げる方法として、リニューアルがある。水回りや外装などに注意すると良い。地方の空き家化した家なら、意外に高利回りの運用にもなる。
次に空き家の売却の話が書かれている。
相続した空き家は、無理に運用資産としないで早期に現金化しようと考えるのも良い選択である。ここでは、家をそのままにして土地付きで売却する場合の法律や税金の規定などが細かく書かれている。
都市部に近い空き家などはまだ売却できる可能性は高いが、地方などでは売却に苦労する場合がある。特に価値が1000万円を下回るようになると仲介を断られることもある。そのような場合は自治体などが主催している空き家バンクの利用も考えられる。
最後に2023年4月よりスタートした「相続土地国庫帰属性度」について書かれている。この制度により相続した土地で、利用の予定のないものは一定の条件をクリアすれば国に帰属させることができる。この制度の対象になる不動産は「土地」にかぎられ、審査手数料に加えて土地管理費に相当する金額を10年分事前に納付する必要がある。そして、申請時の要件は意外にハードルが高いので、著者は国庫に無事に帰属させることができる土地は多くないと予想している。
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