『負動産地獄 その相続は重荷です』 牧野知弘 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
第5章 「負の相続」にならないために(前半)
絶対にやるべき親子会議
家族信託のメリット・デメリット
前章までは、相続に関する不動産の問題について書かれていた。第5章はそれを受けて、ではどのような対策が必要か?どのような不動産が資産になるかを考えている。
まず、相続が実際に起こる前に親子会議が必要であるとしている。
相続という、あまり考えたくはないものの、家族にとっては非常に大きな問題について、家族同士で状況を共有化し、財産をどのように引き継いでいくか、その方向性を定めていくことは非常に重要なことです。(抜粋)
事前に親子会議をしないまま相続になると、遺産分割協議では、収拾がつかなくなり修羅場を迎えることもある。また、高齢化の影響もあり親が認知症を患うと話し合いができなくなるので、できれば早いうちに親子会議をすることが必要である。
親子会議を呼びかけるのは、もちろん親で財産について簡単な目録をつくって全員が集まりやすい時に開催する。会議には子の配偶者は入れない方がよい。
借金がある場合は、その借金はどの資産(不動産など)と結びついているか、その資産はどのくらいの価値があるかを伝える。借金は相続開始後3カ月が経過すると相続放棄ができないので、早めにその存在が明らかにしておくこと。また、相続放棄をすると、預貯金などのすべての財産の相続を放棄することになり、自分の子どもや孫(代襲相続人)に権利が移転することもなくなる。また、親の介護についてもある程度取り決めをしておいた方がよい。以外に親の人間関係を子供が知らないケースもあるので、親だけが付き合っている医師、弁護士、税理士、ファイナンシャル・プランナーなどの連絡先を教えておくとよい。
次に「家族信託」についてそのメリット・ディメリットが書かれている。
具体的には親が委託者になって、自らが所有する預貯金や不動産の取り扱いを、受託者(例えば長女)に委託します。受託者は預貯金や不動産の運用であげた収益を、あらかじめ定めた受益者(委託者である親がなる場合が多いです)に渡します。受託者は、委託者から財産を譲ってもらったわけではなく、あくまでも運用や管理を受託しているだけで、自由に運用や管理業務が行える半面、法律上の「善管理注意義務」「忠実義務」「分別管理義務」などの義務を負います。(抜粋)
家族信託の使い勝手が良いところは、親が認知症になっても受託者の判断で親の預貯金の引き出し、不動産の売却などができるところである。
家族信託をしていない場合は、元気なうちに任意後見人を選定する必要があるが、この制度は、任意後見人は、赤の他人であること、管理業務などは親が認知症になってからしか行えないこと、財産管理は裁判所の管理下で行われるためリスクのある運用や処分ができないこと、などのディメリットがある。
家族信託は、高齢化社会が進む日本社会にあって、財産の管理や処分を相続するはずの子らが、親がまだ元気なうちからあらかじめ関わっていくことで、将来認知症を発症して判断能力がなくなった時でも、合理的な判断で財産を管理、運用できるという画期的なものです。(抜粋)
ここで、誰に受益者になってもらうかという問題は、重要である。これも家族会議を開き相続人である子供たちに全員が認識、納得する必要がある。
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