『モチベーションの心理学 : 「やる気」と「意欲」のメカニズム』 鹿毛雅治 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
第3章 達成と価値―目標説(その6)
4 目標プロセスアプローチ(後半)
今日のところは、目標プロセスアプローチの後半、ここではセルフ・コントロール、「意志力」について解説されている。
ウィリアム・ジェームズは、われわれの願望が、行為として実現されるには、「意志」の力が必要であると主張した。願望やその行為の価値、そしてその期待(期待×価値)が十分でも、その行為が生じるとは限らない。実際に行為を始めるには、意志(=「自分で自分を押す力」)が必要である。
意志(volition)とは行為を実現するために自分が自分に対して下すいわば命令であり、本人の「やる気状態」を保護して行動へと導く心のはたらきなのである。(抜粋)
そして意志には、「始める意志」と「続ける意志」に大別できる。
「始める意志」とは、動機(やる気状態)が行為として顕在化する境界で求めあれる意志を伴う衝動であり、カエサルの故事にちなんでルビコンモデルと言われる。そして、その一瞬を境にしてモチベーションのプロセスが劇的に変わり、その後は「行為プロセス」が発動して、しばらくの間その行為が持続する。
次に意志力に関して有名な「マシュマロ・テスト」が紹介されている。「マシュマロ・テスト」とは、幼稚園児にマシュマロなどのお菓子を目の前に起き、「すぐに欲しければ1個、20分待ったら2個あげる」といって、そのジレンマに耐えられるかのテストである。このテストで我慢できる子どもが将来の成功する可能性が高いことが知られている。そして、このテストで興味深い点は、高評価の子供は、ひたすら耐えているわけではなく、お菓子を見ないといった自分なりの工夫をしていることである。
つまり、このような意志の力はその人のパーソナリティや先天的な能力というよりも、後天的に身につけることが可能なスキル(技能)なのだというのである。(抜粋)
このように環境からの誘惑に打ち克つ能力は、「(続ける)意志力」、セルフ・コントロールと呼ばれる。
このような意志力は、筋肉のようなものといわれ、使えば疲労(自我消耗)し、休めば回復し、そして鍛えれば強靭になる。心のエネルギーには容量が決まっていて、それを消費すると行動だけでなく思考や感情までも制御できなくなってしまう。
最後に「目標プロセスアプローチ」のまとめとして、目標プロセスとモチベーションの関係「モチベーションのプロセスモデル」について、図をもって説明している。
本節の前半で「目標意図」と「実行意図」という話があったけど、このルビコンモデルを踏まえると、なるほどって思える。つまり漠然とした「目標意図」よりも、具体的な「実行意図」のほうが、ルビコン川を渡るきっかけとりやすいってことですよね。(つくジー)
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