『悪文 伝わる文章の作法』岩渕 悦太郎 編著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
構想と段落
段落なしは困る、改行しすぎは段落なしにひとしい、構想の立たない文章、構想のよくない文章
「構想と段落」では、文章を書く前に「構想」を練り、それに沿って意味のまとまりごとに「段落」を変えることの重要性を説明している。
(これは、現代のパラグラフライティングに通じるようなことであると思う.。つくジー)
まず筆者は、段落が無い例文を示して、その問題を「言いたいことの要点が分からない」こととしている。そこで、その文章を筆者が言いたいことを分けて、それを一つずつ段落を変えて書き直しスッキリとした文章にしている。
この文章が、さきにあげたような、たくさんの欠点をもっていることは、立てるべき段落を、立てないで書いてことと関係があるように思う。段落を立てなかったということは、筆をとる前に、どれだけのことどういう順番で書くかという全体の見通しが立っていなかったことを意味する。ふだん、ものを書きなれていない人が身構えなしで文章を書くと、とにかく行き当たりばったりの文章になりやすいのである。(抜粋)
つぎに小学六年生の遠足の作文を取り上げている。それは、前半はほとんど一文ごとに改行されているような作文であった。そこで筆者は、
「行を変えたら一字さげをして、段落の変わり目をはっきりさせて書きなさい」(抜粋)
と段落を意識させるようにアドバイスをした。
女の子が書き換えてきた文章は、量も倍以上になり内容もずっと詳しくなっていた。
そのわけを筆者は、
段落ごとのまとまりを意識した結果が、のべつ無差別であった経験を文節的にみることになったのだろう。およそ、分節化が構造の第一歩である。(抜粋)
している。また、
文章を文章らしくするためには、まず、段落意識を持つことが大切である。(抜粋)
といっている。
次に「構想」を立てることの大切さを説明している。
前の女の子の遠足の文章などは、経験したことを、そのままの順序で書いてもよいが、誰かを納得してもらうには、書き方や順序のまとめ方を考える必要がある。
ここで、構想が立っていない例文を示し、それに沿ってどのような問題があるかを解説している。
この文章の悪さは、筆者があらかじめ自分、読者、内容の三者の関係を見定めていなかったことから生じたものである。自分と読者の関係を考え、その上で、これにふさわしいように内容を考えることを、「構想を立てる」と言う。内容を考えるというのは、次の三点のことに帰する。 (1)テーマをはっきりと見定める。 (2)テーマを展開する順序を考える。 (3)テーマの肉づけになる資料を整える。 構造に従って、各分節を一つの段落として建てるのである。(抜粋)
この節の後半は「構想がよくない文章」として2つの例文を挙げて、どのような問題点があるかを説明している。
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