『ネガティブ・マインド : なぜ「うつ」になる、どう予防する』 坂本真士 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
第2章 自己注目 –2.4 自己注目とうつへの影響
この節では、自己注目(2.1節参照)をうつとの関連について説明している。“うつを発生させる「自己に関する情報」”として、「うつスキーマ」(非機能的な態度 [考え])と「完全主義」(自分に対する高い基準)を取り上げている。さらに「自己没入尺度」=「自分に注意が向きやすく、自分に向いた注意を持続させやすい傾向」とうつの関係を解説している。
自己注目すると自己に関する情報が利用されやすくなり、ネガティブ状態での自己注目では、ネガティブな側面が意識されやすくなる。そしてその意識される内容に大きく影響するのが蓄えられている自己に関する情報である。
ここで著者は、うつを発生させる「自己に関する情報」とは何だろうと問いを発する。
この問題を考えるために著者は、「うつスキーマ」(うつを引き起こす非機能的な考え方)という概念を使い、簡単なテストの後にこう解説する。
「私の愛する人が私を愛してくれなかったら、私には何の価値もない」という考え方を例として、次のように説明している。
このような考え方を持ち続けていると日常生活はたいていの場合うまくいかない(つまり「機能しない」)そこで、このような考え方は「非日常的態度」と呼ばれるのである。これらの極端な信念を持っている人は、自分をへこますような、客観的にみると誤った極端な考え方をしやすく、そのためにうつに陥りやすくなると考えられる。(抜粋)
次に著者は、「完全主義」を、うつ的にさせるものとして挙げている。自分に対する評価は、行動の適切さの基準と現在の自分とのズレによって決まるためである。
うつ的な人はこの基準が高すぎる(すなわち完全主義的)と言われており、それゆえにまわりから見て「成功」だと思われる場面でも、本人は達成感を味わうことができず自己評価を高められないのである。(抜粋)
“うつを発生させる「自己に関する情報」とは何だろう”の答えは、「うつスキーマ」(非機能的な態度 [考え])と「完全主義」(自分に対する高い基準)。っということかな?
つぎに「自己没入尺度」=「自分に注意が向きやすく、自分に向いた注意を持続させやすい傾向」の話に移る。
まず、自己没入尺度を測るテストを示したのちに、著者は、次のように言っている。
これまでの研究で、自己没入的な人はうつになりやすく、うつを長引かせやすいことがわかってきた。(抜粋)
(これについては、第3章で詳しく説明される)
ただし、自己注目が悪いわけではなく、ネガティブな状態で自己注目し、その自己注目を持続させてしまうことが問題である。
この自己没入的な人も、何もなければ問題がないが、よくない出来事が起こった時にうつを悪化させる。
次にこのことに関連して自己没入とストレスとの関連性の研究結果が示される。結論を次のように示している。
自己没入的な人は、ストレスが少ない場合は問題ないが、ストレスが多くなるとその影響を受けやすく、うつを経験しやすいと言える。(抜粋)
最後に、次章以降の予告として二つの問題を提示している。
①.どのような仕組みで、自己への注目を持続させやすいことがうつにつながるか
②.自己没入的な人は、どうすればうつにつながらないようにできるか
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