『文章の書き方』辰濃 和男著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
<整正新選流>の巻 — 新鮮
著者は、勝海舟の父、小吉の書いた『夢酔独言』などの文章を、例にとり、文章の「新鮮」を説いている。
小吉の文章がこのように新鮮なのは、小吉の型破りな生き方が影響している。このような文章は“紋切り型“の生き方では生まれない。
常套句などの紋切り型の言葉は、気が利いた言い回しのものが多く恰好がつく、しかし、いつかは腐ってしまう。
腐ったものを使わないですむ方法は、言葉の嗅覚を鋭くすることです。自分がいま使おうとしている言葉は、気がきいているようでも腐りはじめていないか、と鼻をきかせる習慣を身につけることでしょう。(抜粋)
紋切り型の表現を避けるには、紋切り型でない文章を多く読み、その“心“を学ぶ必要がある。
紋切り型の表現の底には、紋切り型の感受性、紋切り型のものの見方、紋切り型の生き方があります。私たちの心、私たちの生き方には、どうしようもなく、「紋切り型」という名の垢がこびりついてしまうのです。ですからよけいに、垢には敏感になりましょう。そして自分の文章の垢にも。(抜粋)
関連書:勝 小吉 (著) 『夢酔独言』講談社(講談社学術文庫)2015
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