『作家の仕事部屋』 ジャン=ルイ・ド・ランビュール 編
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
アルフォンス・ブダール – 監獄や病院は不思議な現像液の役割を果たす
アルフォンス・ブダール (Alphonse Boudard) は、自伝的な作家である。小学校を卒業後に活字工場で見習工を行った後、対独抵抗運動、従軍、その後、監獄と療養所を行き来し作家となる。
仕事の方法
仕事は監禁されていた時の方がはかどる。本を書こうと決心をした時には、仲間が居てはだめ、外から何か頼まれるのもだめ、自分が完全に自由であることが必要である。
私の方法は、原則として、田舎に行って自分を閉じ込め、自分に強制して毎日何頁か書くことです。(抜粋)
監獄やサナトリウムで書いた経験から、物質的な条件などは気にならない。監獄にいたときは、騒音を避けるために耳栓をしたり、比較的静かなシャワー室やトイレに閉じこもって書いた。また仕事机でものを書くことはまずない。サナトリウム時代の習慣でベッドの中で書くことを覚えた。
作品について
作品のなかで現実と創作の割合という質問については、小説の中で奇想天外の部分は、もっとも正真正銘の事実であることが多い。創作というのはそういう原料に加える処理である。自分自身については、前面に押し出さないということが大原則である。
本を書き出すためにメモを取ってもすぐに失くしてしまう。本を書くときに、次々に話題を提供してくれるものは自分の記憶である。しかし、ただ面白い話を寄せ集めればよいということではなく、構成される必要がある。そのためある段階で一種のプランを、メモのように書きつけることはある。
作品には隠語がたくさん出てくるが、最初は隠語を隠し闘ったほどである。しかし、
私が自分の道を見つけたのは、隠語を使っても書けるんだということを発見した時なんですよ。(抜粋)
しかし重要なのは、隠語の動きないし流れである。実際に単語としての隠語はたまにしか使っていない。隠語的なのは単語でなく全体の形である。
《書く楽しみ》と昔やっていたことと、どちらがイイかという質問については、それをしばしば考えると言っている。自分は自由が好きだから泥棒になったが、その自由の大商はいさか高すぎる。しかし、今は収税吏の強迫観念に取りつかれている。
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