『アサーション入門』 平木 典子 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
第一章 アサーションとは自分も相手も大切にする自己表現(その3)
今日のところは、「第一章 アサーションとは自分も相手も大切にする自己表現」の“その3”である。前回の“その2”では、三つの自己表現のうち、「非自己主張的自己表現」と「攻撃的自己表現」が説明された。今日のところ“その3”では「アサーティブな自己表現」と「三つの自己表現のまとめ」の説明となる。それでは、読み始めよう。
「アサーティブな自己表現」
「アサーティブな自己表現」とは
「アサーティブな自己表現」は、前回取り扱った「非主張的自己表現」と「攻撃的自己表現」のちょうどよいバランスを取った自己表現である。それは、自分も相手も大切にするコミュニケーションをすることである。
アサーティブな自己表現には、
- 自分の考えや気持ちを捉え、それを正直に伝えてみようとする
- 伝えたら、相手の反応を受け止めようとする
の二つの要素がある。
アサーションとは、自分が話したいことを非主張的にも、攻撃的にもならずに、なるべく率直に、素直に伝えると同時に、話した後には、相手の反応を待ち、対応することも含んだ自己表現です。(抜粋)
アサーティブなコミュニケーション
アサーションでは、自分の思いを正直に率直に伝える自己表現であるが、相手も同じように自己表現することを前提とするため、必ずしもこちらの思い通りにいかない。そのため、アサーションでは、お互いの考えや気持ちの類似点や違いについてきちんと表現すると同時に、関心をよせ理解しようとする。たとえ同じ意見にならなくても、同じ行動をとらなくても、お互いを理解し合い、お互いが自分らしくいられる関係を築くことを目指す。
アサーティブなコミュニケーションでは、双方の意見が一致することもあれば、「同意できない」など意見が合わないこともある。意見が一致しない時は、互いに意図を説明し相互に理解し合い、新たに歩みよりの提案をして合意点を見つけることを目指す。
アサーションの基本の二つのステップ
ふだんアサーションが出来ている人でも、特定の状況や人間関係において、アサーションできないことがある。その理由は
- 育ってきた環境による習慣:子どものころの習慣など
- 初めての場面や初対面:このようなとき、遠慮したり反対に余計に威張ったりしがちである。
具体的な方法は後の章で述べるが、ここでは、アサーションの基本の二つのステップを紹介する。
第一ステップ — 自分の気持ちを確かめる
最初のステップは、自分の意見や気持ちを確かめることである。自分の気持ちを確かめることに集中する。ここで大切なことは、あいまいな気持ちや対立する迷いや困惑なども認めることである。そのような気持ちのありかたをそのまま受け入れ、大切にすることがアサーションの出発点である。
第二ステップ — 正直に言語化してみる
次のステップは、その気持ちを出来るだけ正直に、率直に言語化するということである。「迷っている」「困っている」「うまく言えない」など、明確に言えない気持ちもそのまま伝えてもよい。
そしてそれを受ける「相手の表現」も大切にすることも必要である。自分の思いが相手にどのように受け止められるかを見届ける。相手も自分と同じように大切にすることがアサーションのやりとりである。
三つの自己表現のまとめ
ここで著者は、「非主張的自己表現」「攻撃的自己表現」「アサーティブな自己表現」の3つについてまとめている。
非自己主張的自己表現 | 攻撃的自己表現 | アサーティブな自己表現 |
引っ込み思案 | 強がり | 正直 |
卑屈 | 尊大 | 率直 |
消極的 | 無頓着 | 積極的 |
自己否定的 | 他者否定的 | 自他尊重 |
依存的 | 操作的 | 自発的 |
他人本位 | 自分本位 | 自他調和 |
相手任せ | 相手に指示 | 自他協力 |
相手の承認で決める | 自分の命令に従わせる | 自己選択で決める |
服従的 | 支配的 | 歩み寄り |
黙る | 一方的に主張する | 柔軟に対応する |
弁解がましい | 責任転嫁 | 自己責任で行動 |
「私はOKでない、あなたはOK」 | 「私はOK、あなたはOKでない」 | 「私もOK、あなたもOK」 |
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