[再掲載]「敵地ニ入ル、外洋ノ朝」
吉田 満 『戦艦大和ノ最期』より

Reading Journal 1st

『戦艦大和ノ最期』吉田満 著
[Reading Journal 1st:再掲載]

(初出:2005-08-12)

敵地ニ入ル、外洋ノ朝

出港直後から、アメリカの潜水艦が尾行していた。
臨戦態勢の中、吉田が見たものは、おのおのが心に隠している苦悩である。
若い兵士が多ければ、許婚を残してきた者、新婚の者、初めての子が生まれたばかりの者、そういった者も多く乗船していた。

また、伊藤司令長官の息子は航空士官であった。

伊藤司令長官ノ一人息子ハ、飛行科士官ニシテ第一線搭乗勤務ニアリ 本作戦ニ参加ノ公算少カラズトハ、充分予期セラレタルベシ
ムシロ祖国ノ命運迫リタル折、栄エアル決死ヲ父子共ニスルハ、宿願タリシモ知レズ伊藤中尉ハ父君ノ期待ニ応エ、天号作戦ト一体ノ哨戒任務ニ従事、幸イ帰還セルモ、旬日後、菊水特攻ノ一員トシテ沖縄ニ散華セリトイウ
子ハ父ヲ衛(マモ)ラントシ、至近ノ水域ヲ死所ニ選ビテ玉砕シタルナリ(抜粋)

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