Reading Journal 2nd

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[読書日誌]『ヨブ記 その今日への意義』
浅野 順一 著

『ヨブ記』は旧約聖書の知恵文学とされる。この知恵文学には、「個人的であること」「人間の経験の要素」「民族を超えた国際性」「人間から神へという方向性」という特徴があり、ヨブ記は古くから西洋の思想・文学と深い関係を持っている。:『ヨブ記 その今日への意義』より
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オウィディウスと普遍的つながり — 『変身物語』 (前半)
イタノ・カルヴィーノ 『なぜ古典を読むのか』 より

オウィディウスの『変身物語』は、「エコーとナルキッソス」などの二百の変身をモチーフとする物語が収録されている。これらの物語では、神と人間の接触がテーマになっていて、神、人間、そして自然が均衡を成している。:『なぜ古典を読むのか』より
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仏教の死生観と廻向の原理 — 葬式仏教(その2)
末木 文美士 『日本仏教再入門』より

死者を供養するという廻向の原理は、菩薩という「自利他利」の考え方に従い他者に自分の善行を振り分けるという考え方から生まれた。この廻向の原理はさらに「空」の理論により補強され、廻向の理論は東南アジア・中国で発展し日本にもたらされた。:『日本仏教再入門』より
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[読書日誌]『日本軍兵士』
吉田 裕 著

『日本軍兵士』は、アジア・太平洋戦争で膨大な犠牲を出した日本軍兵士について、戦後歴史学を問い直す、「兵士の目線」「兵士の立ち位置」から戦場をとらえ直す、「帝国陸海軍」の軍事的特徴との関連性を明らかにするという3つの問題意識から書かれている。:『日本軍兵士』より
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楽しむ孔子2 — 孔子の素顔(その7)
井波 律子 『論語入門』より

孔子は、風に吹かれてわが道をゆく曾晳やシンプルな暮らしを楽しんだ顔回のような生きかたに、つよく魅かれていた。しかし、人が社会的な存在であることを痛感し正しい社会的関係性の構築を模索しながら、自己本来の自在な生きかたを保とうとしていた:『論語入門』より
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近代の葬式仏教 — 葬式仏教(その1)
末木 文美士 『日本仏教再入門』より

日本の葬式仏教は、近世の成立した寺壇制度がもとになっているが、それがそのまま発展したものではない。それは、近代に入ると天皇を中心とした「イエ制度」が整備され、寺はその枠組みとして存在し、葬式仏教もその枠組みの中で発展したからである。:『日本仏教再入門』より
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国境はなぜあるのか(後半)
長谷部 恭男 『憲法とは何か』より

「ある国家の権威は、どのような範囲まで及ぶべきか」=「国境はいかに引かれるべきか」という問題に対して、著者はジョゼフ・ラズを引き合いに出し、国境をいかに引くべきかについては、あらゆる場合に妥当する原理的な正解はないと答えている。:『憲法とは何か』より
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クセノポン 『アナバシス』
イタノ・カルヴィーノ 『なぜ古典を読むのか』より

今回は、クセノポンの『アナバシス』の紹介である。『アナバシス』は、戦場に取り残されたギリシア兵の帰還の物語である。クセノポンは、イナゴの大群と化した兵たちを率いこの難局を乗り越える。そして、著者は、そこに現代的な倫理観を見ている。:『なぜ古典を読むのか』より
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楽しむ孔子1 — 孔子の素顔(その6)
井波 律子 『論語入門』より

孔子はときに怒りを爆発させ、ときに悲観にくれるなど、激情をあらわに示すこともあったが、基本的には伸びやかな陽性のひとであり、生きることを楽しむ人であった。ここでは、そんな孔子がゆったりと楽しんでいる話が集められている。:『論語入門』より
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戒の変遷 — 日本仏教と戒律(その3)
末木 文美士 『日本仏教再入門』より

最澄により採用された大乗戒壇は、日本の仏教に大きく影響を与えた。戒を守るということよりも受戒の儀式に重点が置かれ、授戒の効力が期待された。それは、世俗から離脱する戒でなく、世俗のなかで活躍するための戒となった。:『日本仏教再入門』より