『文章の書き方』辰濃 和男著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
<平均遊具品>の巻 — 遊 び
この節は、文章の“遊び“について書かれている。
著者は、具体的な例を用いて解説した後、
文章の遊びには、このように異質なものを結び付け、結びつけることによってことがらの本質を明らかにする営みがあります。(抜粋)
と言っている。
このような異質なものを結び付ける文章遊びとして「パロディ」や「比喩」を多くの例を上げて解説している。その中の一つ福沢諭吉の話を抜き出してみよう。
福沢諭吉の遊び心や茶目っ気は自伝を読めばすぐにわかることです。この人は、小話、つまり笑話が好きでした。私の本棚には『福沢諭吉の開口笑話』(飯沢匡・現代語訳)という本があります。諭吉がアメリカの笑話を集めて翻訳したもので、その福沢訳の後に、さらに飯沢匡の現代語訳がつくという豪華版です。序文で諭吉はこう書いています。 「一笑の間に無限の意を寓して自ら人情世態の裡面を会得せしめるが如きは教育法の捷径(しょうけい)にして却って有力なるものあるが如し」 ありがたいことに、すぐに飯沢匡の訳がでてきます。 「笑いの中に無限の意味を持たせ、自然に人生や社会の姿を理解させるのなどは、教育法の早道で、むしろ有力と言えるようだ」 福沢諭吉は笑話にこそ人生があり、世間の風があると信じていたのでしょう。(抜粋)
関連図書:福沢 諭吉【訳編】/飯沢 匡【現代語訳】「福沢諭吉の開口笑話―明治の英和対訳ジョーク集」冨山房 1986
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