『それでも日本人は「戦争」を選んだ』加藤 陽子著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
3章 第一次世界大戦 なぜ国家改造論が生じるのか
第一次世界大は、戦死者が極めて少なかったにも関わらす日本に大きな影響を与えた。この戦争後に日本が変わらないと亡びると多くの「国家改造論」が生まれた。
この時、どのような要求があったかを著者は次の11項目にまとめる。
- 普通選挙
- 身分的差別の撤廃
- 官僚外交の打破
- 民本的政治組織の樹立
- 労働組合の公認
- 国民生活の保障
- 税制の社会的改革
- 形式教育の解散
- 新領土・朝鮮、台湾、南洋諸島統治の刷新
- 宮内省の粛正
- 既成政党の改革
このような改革案を出した団体の多くはパリ講和会議に参加した少壮政治家やジャーナリストが創設したものだった。
日清戦争後の改革運動では、せいぜい普通選挙の必要性、甚大な被害があった日露戦争後の改革運動でも、悪い税金は無くそうという経済的な要求だけだったが、第一次世界大戦後では、このように多くの要求がでた。
なぜ日本の改革団体は危機感を抱きこのような多くの要求を出したのか、著者は、その三つの要因があるとしている。
一つ目は、日本が第一次世界大戦に参戦する際にイギリス・アメリカとの応酬があったのですが、その事実が帝国議会で暴露されたとき、激しい政府批判が社会に巻き起こったということ、次に、戦争が終わった後、パリ講和会議で日本が直面した、中国とアメリカからの対日批判に、深く日本側が衝撃を受けたということ。そして最後に、日本統治下の朝鮮で三・一独立運動がパリ講和会議の最中に起こってしまう。その脅威です。(抜粋)
次節以降は、この3つの観点から第一次世界大戦を振り返る。
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