『それでも日本人は「戦争」を選んだ』加藤 陽子著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
3章 第一次世界大戦 植民地を持てた時代、持てなくなった時代(前半)
第3章は第一次世界大戦について、本節では、第一次世界大戦後に何が変わったかを概説し、日本の植民地獲得の一貫性について解説している。
第一次世界大戦は、セルビア・イギリス・フランス・ロシアなどの連合国とオーストリア・ドイツ・トルコなどの同盟国が戦った世界規模の戦争である。この戦争で戦死者が一千万人、戦傷者が2千万人出たが、日本の戦死傷者は、たったの一二五〇人だった。
この戦争で何が変わったかは、世界と日本と別々にみると、
世界では、ロシア、ドイツ、オーストリアの王朝が崩壊し、ロシアではソ連が、ドイツではワイマール共和国が生まれた。
日本では、シベリア出兵の噂が起こり米価高騰のため米騒動が起こった。ここで元老・山形有朋が首相として原敬(はらたかし)を天皇に推薦し初めての政党内閣が生まれた。
第一次世界大戦は膨大な死傷者がでた総力戦であったため、国家が国民に対して新しい社会契約を必要とした(序章:参照)。そして、二度と戦争が起こらないように国際連盟が設立される。
もう一つの変化は、帝国主義の時代では当たり前だった、植民地に対して批判的な考え方が生まれた。そのため旧ドイツ領の植民地を連合国側が処分する際には、国際連盟がそれぞれの連合国に対して、その地域の統治を委任する形を取った。日本も獲得した南洋諸島などの、委任統治権を得る。
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