『文章の書き方』辰濃 和男 著 岩波書店(岩波新書) 1994年 800円+税
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
まえがき、<広場無欲感>の巻 — 広い円
Reading Journal を再開するにして、どうもちゃんとした文章になっているか?気になる。立ち寄ったブックOFFで『文章の書き方』という本を見つけたので、読んでみることにした。
本書は、「天声人語」の元筆者である著者による文章の書き方の本。
著者は、本書で「文は心である」ことを伝えたいと書いている。
その人の文章のありようと、その人の生きる営みとは切り離せません。(抜粋)
まず書くための準備の重要性を著者は広い円という比喩で解説する。
土のうえに直径1メートルの円を描き、その円内で円錐状の穴を掘ります。次に直径5メートルの円を描いて穴を掘ります。どちらがより深く穴を掘ることができるか。いうまでもなく、円が大きいほど穴が深くなります。(抜粋)
この広い円を描くための実践的な方法の一つは、日記を書くことだとしている。
以後、何人もの人が広い円を描きながら準備をしていた具体例が示される。
「十六の年から、こうして毎日、木を刻んでいましたのや」という人形師の言葉を聴いて、宇野は思います。そうだ毎日、書くのだ、と。 宇野が非凡なのは、思っただけでなく、それを実行したことです。 「書ける時は書き、書けないときには休むと言ふのではない。書けない、と思ふときにも、机の前に坐るのだ。すると、ついさっきまで、今日は一字も書けない、と思った筈なのに、ほんの少し、行く手が見えるような気がするから不思議である」 人形師が毎日縁側に坐るように、毎日、必ず机の前に坐る、そうすればおのずから文章が書ける、と宇野言っています。(抜粋)
引用部:宇野千代:「阿吽の呼吸」
週刊朝日(編さん)『私の文章修業』 朝日新聞出版(朝日選書 247) 1984
目次 まえがき [第1回] 一.<広場無欲感>の巻 --- 素材の発見 広い円 --- 書くための準備は 現 場 --- 見て、見て、見る [第2回] 無 心 --- 先入観の恐ろしさ [第3回] 意 欲 --- 胸からあふれるものを [第4回] 感 覚 --- 感じたことの表現法 [第5回] 二.<平均遊具品>の巻 --- 文章の基本 平明(1) --- わかりやすさの秘密 [第6回] 平明(2) --- 読む人の側に立つ [第7回] 均衡(1) --- 文章の後ろ姿 [第8回] 均衡(2) --- 社会の後ろ姿 [第9回] 遊 び --- 異質なものとの出あい [第10回] 具体性 --- 細部へのこだわりを [第11回] 品 格 --- ものごとを見つめるゆとり [第12回] 三.<整正新選流>の巻 --- 表現の工夫 整える --- 気をつけたい六つのこと [第13回] 正確 --- 終着駅のない旅 [第14回] 新鮮 --- 避けたい紋切型の表現 [第15回] 選ぶ --- 余計なものをそそぎおとす [第16回] 流れ --- 書き出しから結びまで [第17回]
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