『負動産地獄 その相続は重荷です』 牧野知弘 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
第6章 相続をどうすればよいのか
世界最高水準のニッポンの相続税
縮小、撤退戦略を迫られるニッポンにおける相続
財産移転の早期化が日本を活性化する
不動産評価のあり方を考える
デジタル相続の可能性
相続税を100%にすると?
土地は国のものにすればすべてが解決する
国土の絵図を描きなおそう
あとがき 相続が語る人生の未来とは
いよいよ今日から最終章である。ここでは、日本の不動産を中心とした相続の問題を総括して、日本の将来に向けどのようにすればよいかの提言をしている。
まず著者は、日本の相続税の歴史を概観し、また世界の相続税と比べて、日本の相続税に関する姿勢は、極めて「厳しい」と説明する。そのため資産をたくさん保有している人は、相続税の負担を軽減するために多くの人がアパートやタワマンなどの負債を背負った形の投資をするなどの無理をしている。また、多くの日本人は自宅という資産を持っていて、この資産も二次相続では課税の対象になる可能性があり、たとえならなくてもこれから訪れる多死・大量相続時代では、相続人がその取扱いに苦しむようになる。
これまでの日本は、一貫して成長を続けてきたが、バブル崩壊後からは経済は縮小し、さらに増加していた人口も減少している。現代の、そして未来の日本はこのような縮小・撤退が続く日本である。その時にどのような相続が良いかを考える必要がある。
現在のような高齢化社会になると相続の移転が遅れ、いわゆる老老相続になる。老老相続では、資産を受け取る側も高齢化しているため、その資産を消費に回さないという悪循環に陥る。一方、20歳代から40歳代までの、社会の中核で消費を活発に行う世代は自由なお金がないという状態である。
これを受けて著者は、若い世代への贈与をしやすくして、早く資産の移転を行えるような政策が必要であると唱えている。そして、贈与の相手も家族だけでなく本当に贈与したい人に贈与できるような仕組みを作ることも提案している。
また、不動産の相続では、現在の「路線価」による評価などは、世界でも珍しいと説明し、いろいろな問題もあるためにそれを廃止しても良いのではないかと言っている。
その他、デジタル相続の可能性や相続税を100%にする案やいっそのこと土地を国の所有とする案などについて論じている。
あとがき 相続が語る人生の未来とは
最後に「あとがき」では、著者の身に起こった父親の相続の経緯と父との思い出が書かれている。
全10回完了
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