「限界ニュータウンとはなにか」(その2)
吉川祐介『限界ニュータウン』より

Reading Journal 2nd

『限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地』 吉川祐介 著
 [Reading Journal 2nd:読書日誌]

1章 限界ニュータウンとはなにか [3/7]
荒れはてる共有地、交通利便性ゼロの立地、売りたくても売れない更地、ずさんな造成がもたらしたもの

この後は、具体的なルポルタージュをしながら限界ニュータウン・限界分譲地の問題点を明らかにしている。

荒れはてる共有地

まずは、独立の自治会や管理組合が形成されていない小規模の分譲地の多くに共通してみられる問題点として、「共有地」の老朽化が挙げられている。共有地とは、

  • 私道 (なかには未舗装の私道もある)
  • 街頭
  • 公園

などが放置されている。
これは、

  • 土地の多くが「所在者不明土地」となり、共有地の分所有者が不明で合意が取れる補修が進まない。
  • 所有者が分かっているとしても、不在地主は、遠く離れた土地の共有部分が管理まで把握していない
  • 居住者も高齢化してきていて、体力的にも年齢的にもそして金銭的にも共有地の自主管理が難しくなってきている。
  • 小さい分譲地では、地域コミュニティーが形成されずに、そもそも合意を取りまとめられない

などの理由からである。

交通利便性ゼロの立地

限界ニュータウン・限界分譲地は、「投機的商品」として開発されたものも多く、その立地の利便性は、あまり考慮されていなかった。実用的な本数のバス路線、商業施設、教育施設などが無く、基本的に自家用車以外の移動手段がない。また、そこに移住してきた人は、そもそも自家用車以外の移動を考えていない。

売りたくても売れない更地

今日では、実用性の低い地方の土地は、資産どころか負担になり、負の遺産となっている。それに比べると、千葉県北東部は、不動産取引は活発に行われていて市場が形成されている。しかし、著者は例外があるという。

千葉県北東部における不動産物件の流通構造そのものは一般的な都市部のそれと変わらないのだが、ただ一点、都市部と大きく異なる例外がある。その例外とは、多くの限界分譲地の「更地」にかぎり、ノーマルな分譲住宅地と異なり、いまや市場価格が完全に崩壊してしまっていることだ。(抜粋)

さらに、問題点として挙げているのは、分譲地の規格やスペックが、いまとなっては時代遅れとなっている事である。

ずさんな造成がもたらしたもの

限界分譲地は、購入者の多くが「投機目的」であったため、造成工事の質を落としていると疑われる分譲地も多い。このような分譲地では、深刻な地盤沈下が起こっているところもある。
また、大手デベロッパによる一般的な分譲住宅地は、間違いなく土地の販売と自社の関連企業の住宅建築を進めるが、このような限界分譲地では、それが行われたけはいもない。


最初の部分で、ボクの育った場所も「北総エリアのニュータウン」であると書いたが、ちゃんと○○ホームの家を一緒に進められているので、著者のいう「限界分譲地」ではなく「限界ニュータウン」の方であるかな?と思った。でも、大した慰めにもならないんですけどね。。。。

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