「文の途中での切り方」(その1)
岩渕悦太郎『悪文 伝わる文章の作法』より

Reading Journal 2nd

『悪文 伝わる文章の作法』岩渕 悦太郎 編著
 [Reading Journal 2nd:読書日誌]

文の途中での切り方(その1)
中止法のいろいろ、長い文は読みにくいか、「そうして結合」をつないだ文

中止法のいろいろ

ここからは「文の区切り方」。いわゆる中止用法などである。
まず中止用法とは何かについて次の例文で解説している。

地上には自動車が走り、空には飛行機が飛ぶ。
山は青く、水はすんでいる。
からだがじょうぶで、頭がよい。(抜粋)

このように、文をいったん、中止しながら続けていくのが中止用法である。上の例は、動詞・形容詞・形容動詞の連用形を用いている。そして、次のものも中止用法を広く考えてここで扱うとしている。

  • 1.「名詞+助動詞」
  • 2.動詞・形容詞の場合、連用形に「て」のついたもの
  • 3.動詞に助動詞のくっついたものの中止法
  • 4.形容詞的に中止した修飾法。(ある程度含めるとしている)
  • 5.用言に接続助詞のついたもの

長い文は読みにくいか

中止法は、終止形の文を切ってしまう代わりに、一度止めてさらに文をつづける働きがあるので、中止法の文は一般に長くなる
ここで、著者は中止法を使って長く綴った文は読みづらいかということを、安保条約の前文などを例にして考察している。そして結論として、

中止法が読みにくさを引き起こすことがあるのは、文が長くなることによるものではなく、もっと別な原因によるものであると言えよう。(抜粋)

としている。

「そうして結合」をつないだ文

一般に新聞の文章は、本来ならば「そうして結合」するはずの文を、中止法によって一つにまとめているため長くなっている。(主語が兼用され文章が節約される)
ここで著者は、「そうして結合」をつないだ中止法の文を例にして、説明している。

このように、「そうして結合」(「------。そうして、------。そうして、-----。‥…」)とつながっていく文章)をまとめた文の場合は、中止法をいくらつらねてもいっても、読みにくくならないのである。(抜粋)

しかし、このような文も場合によっては読みづらくなるとしている。

事柄が並列しているものを中止法でつなげる場合は、対句のようになっている場合を除いてすらすらとは読めない。
つまり、中止法は、時間や因果関係の系列が直線を成しているような文ならば、長い事は大した問題ではないが、並列の場合や屈折の多い文章では読みづらくなる

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