『憲法とは何か』 長谷部 恭男 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
第6章 憲法改正の手続き(後半)
今日のところは「第6章 憲法改正の手続き」での”後半“ある。憲法改正の発議は、衆参両院での三分の二の賛成という特別多数決によって行われる。前回、”前半“では、このような憲法の発議がこのような特別多数決によって行われる理由について説明された。
今日のところ”後半“は、憲法改正の発議後の国民投票についての議論である。著者はここで国民投票の方法を示す「憲法改正国民投票法」に必要な要件を提案している。それでは読み始めよう。
「憲法改正国民投票法」への3つの提案
衆参両院で三分の二以上の賛成を得て、憲法改正の発議がされると、憲法改正案は国民投票にかけられる。そして、ここでは過半数の賛成が必要となる。しかし、憲法で定められているのは、ここまでで、実際にどのような手順で国民投票を行うかは、国会が制定する法律、つまり「憲法改正国民投票法」によって決まる。
ここで著者は、この本が刊行されるころには、すでに憲法改正に関する法律は出来上がっているかもしれない、としながら
「これは法律であった、よりよい制度があるとなれば、両議院の審議・議決を通じて改正することは容易である。」(抜粋)
として、国民投票制度について3つの提案を行っている。
- 国会による改正の発議から国民投票まで、少なくとも二年以上の期間を置くこと
- 国民投票にいたるまでの期間、改正に賛成する意見と反対する意見とに、平等でしかも広く開かれた発言と討議の機会を与えること
- 複数の論点にわたる改正案について一括で行うのではなく、個別の論点ごとに行うこと
である。いずれも有権者による投票が、短慮や情緒ではなく、十分な情報と熟慮に基いて行われるようにするための工夫である。
提案1:発議から投票までの期間
著者は、憲法改正の発議から国民投票までの期間を最低でも2年置くことを提案している。
まず、最初の提案から最終的な改定まで長い要求する例は珍しくないとして、
- フランスの革命後に制定された最初の憲(一七九一年憲法)では、三度にわたって異なる構成の議会で、同一の改正を発議したときに、改めて憲法改正議会を招集して最終的な改正を行う
- スペイン憲法では、基本的人権などの重要事項の改正にあたっては、総選挙をはさんで二度、国会で三分の二の賛成を得て発議され、国民投票に付される
- スウェーデン憲法では、改正の発議は総選挙をはさんで二度、発議がなされなければならず、しかも最初の発議から総選挙まで最低でも九か月経過する必要がある
このような、措置は、落ち着いてじっくり改正提案の当否について考える冷却期間を与えるという意味と、総選挙をはさんで政治勢力の構成が変わっても、なおこの改正提案が有効であるかを提案する側に熟慮を求めるという二つの意味がある。
提案2:平等で広く開かれた発言と討議
ここで著者は、この憲法改正国民投票の規則を公職選挙法の規則に準じて行うという提案があるとして、それは、複数の党派に属する候補者が票の獲得競争をする選挙運動と、党派を超えて、国のあり方の根幹に関わる憲法の改正に関する国民投票との違いを理解していない提案である、と言っている。
ここで著者が問題としているのは、国民投票に関する報道や評論で「虚偽」の事項を記載したり、国民投票の結果に影響を及ぼす目的で、新聞や雑誌の報道や評論を掲載することを禁止すべきである」という提案である。
憲法改正案では、なにが「虚偽」報道にあたるのか定かでない。なぜならば、憲法改正案の場合は、起草者自身も将来の解釈・適用のあり方を正確に予想できないものだからである。
だかこそ、あらゆる解釈・適用の可能性を含めた幅広い視角からの報道と論議が必要となる。(抜粋)
適用対象が不明瞭な報道規制を置けば、報道活動の萎縮を招き、賛否両論の公平な幅広い論議の場を確保することが困難となる。
表現の自由に支えられた民主政治という現行憲法の根幹を維持するためにも、意図や適用対象の不明瞭な規則を置くべきではない。(抜粋)
提案2:個別論点ごとの投票
複数の論点がある場合、一つ一つの論点では、否決される場合でも、それらをパッケージとして提案することにより可決する場合がある。これは通常の政治過程や議会の総選挙のように異なる意見の政党が争うような場合はともかく、憲法改正国民投票のように、それぞれの論点について党派や世代を超えて日本の根幹に関わるルールを改正する場合は邪道と言える。
この文章は、「憲法改正国民投票法」が制定される前の文章である。では、実際はどうなったのかな?と思って調べてみた。
法律そのものを見ても・・・まぁわからないから、政府広報の「「国民投票法」って何だろう?」を見てみる。
まず、「日本国憲法の改正手続に関する法律(憲法改正国民投票法)」が平成19年5月18日(2008年)公布、一部を改正する法律が平成26年6月20日(2014年)に公布・施行された、とある。著者が指摘する各論点はというと
- 「憲法改正の発議をした日から起算して60日以後180日以内」なのでこれは×だね。
- これは、微妙だね。「公職選挙法の規則」を下敷きにしてある雰囲気がある。が、「政党やその他の団体、マスコミ、個人などが、一定のルールのもとに「国民投票運動」を行うことができます」と書いてある。
ちょっとわからない。あ、「公職選挙法の規則」がわかってないよね?、仕方ない△としよう。 - 「投票は、国民投票にかかる憲法改正案ごとに、一人一票になります。」って書いてある。ってことは、これは〇だね。
したがって、一勝一敗一引き分けでしょうか?(引き分けって?なんだ??)(つくジー)
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