『ネガティブ・マインド : なぜ「うつ」になる、どう予防する』 坂本真士 著 中央公論新社(中公新書)2019年
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
はじめに
本棚を眺めていたら、この本、『ネガティブ・マインド』があった。確か?この本は、なかなか面白かったよな??と思ったのだが、内容といって覚えているのは、「気晴らし」とか「運動」とかも良いということだけ・・・お・・覚えてないじゃん!
なにかとストレス社会の近年。「うつ」も気を付けないといけないよなぁ、と思い読み返してみることにしました。
今日のところは、「はじめに」である。著者は、まず不景気の話から「不景気」→ “depression”→ 「うつ病・憂うつ・抑うつ」と話をすすめて、この本の狙いをこのように語っている。
「デプレッション」(不景気。うつ)の時代をうまく乗り越えていくためには、ネガティブなものを最初から否認したり忌避したりするのではなく、ネガティブなものと向き合い、それをよく観察し、考えることも同時に必要かもしれない。そして、あわよくば、そういうネガティブなものを逆手にとって、うまく活用してやろうというしたたかな考えも、大切だろう。(抜粋)
次に「うつ」を扱う主な研究領域として、
1.精神医学・・・客観的、科学的に精神疾患をとらえる。「第三人称的理解」
2.臨床心理学・・・患者の内面を重視。患者とセラピストという「第二人称的理解」
の二つがあるとする。しかしどちらも重い精神病理を扱うため、軽い「うつ」については当てはまりが悪いとし。
そのため本書ではそのどちらでもなく
3.社会心理学・・・「一人称 — 三人称的理解」
のアプローチをとるとしている。
本書では、うつという感情を発生させる心の働き(認知)を「ネガティブ・マインド」と名付け、その仕組みを認知心理学や社会心理学の知見をもとに明らかにしていく。(抜粋)
本書の内容は章立てごとに、以下にようになっている。
第1章 ・・・・・ ネガティブ・マインドの説明
第2章、第3章・・ネガティブ・マインドの仕組
第4章・・・・・・ネガティブ・マインドのコントロール、うつの予防
そして、最後に著者はこのように結んでいる。
ネガティブな心理状態 ---- これは誰でも経験しうるものである。ポジティブな心理状態に比べて決して心地よいものではないし、はたから見て気持ち良いものでもない。私たちは、落ち込んだ気分を回避しようと、表面的にポジティブさを装ったり、刹那の快楽を手を出したりすることもあるが、ネガティブ・マインドの仕組みを知ると、このような行為が自分自身を成長させるものではないことがわかるだろう。本書が、ネガティブ・マインドのよりよい活かし方について有益な示唆を与える一助となれば、幸いである。(抜粋)
目次 はじめに [第1回] 第1章 ネガティブ・マインドとは 1.1 ネガティブなマインド [第2回] 1.2 うつ症状とうつ病 [第3回] 1.3 うつの疫学 ●コラム① 「凹」について 第2章 自己注目 2.1 自己注目とは [第4回] ●コラム② 行動の適切さの基準に関する実験 2.2 自己注目とうつ [第5回] ●コラム③ 正規分布と標準偏差 2.3 自己注目の始発 [第6回] 2.4 自己注目とうつへの影響 [第7回] ●コラム④ 星竜馬と自己注目① 第3章 ネガティブ・マインドの仕組み―自己没入の中で起こること 3.1 内在他者と「行動の適切さの基準」 [第8回] ●コラム⑤ 「内在他者」による自己評価 3.2 気分一致効果 [第9回] 3.3 自己確証 [第10回] 3.4 自己発生的態度変容 [第11回] ●コラム⑥ 星竜馬と自己注目② 第4章 ネガティブ・マインドの調節 4.1 機能型の自己注目と機能不全型の自己注目 [第12回] 4.2 気晴らしの効果 [第13回] 4.3 運動の効果 [第14回] 4.4 機能型自己注目に変える [第15回] 4.5 ネガティブ・マインドの適応学 [第16回] おわりに [第17回] あとがき
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