Pen Mar.2025
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
「2025年に見るべきアート」
本屋さんで雑誌をみていたら、ビビッドな表紙の雑誌が目に留まった。「Pen Mar.2025」である。特集は「2025年に見るべき現代アート」であった。現代アートかぁ~と思ったが、中身をパラパラめくると面白そう。でもどうしようと迷っていたが、しっかりした作りの雑誌なのにお値段880円! もしかして、オトク? と思って買ってみた。
特集:2025年に見るべき現代アート
特集というか、この雑誌の大半が今活躍する現代アートの話である。「今注目すべき、新世代作家たち」「アート界の目利きに訊いた、見逃せない作家たち」をコアにして、俳優・板垣李光人さんのアート探訪、アートの三講座、さらには、アートの鑑賞と買い方の話などなどで構成されている。
紹介されている現代アートの作家は、38名。書あり、絵画あり、ネオン管(?)あり、彫刻あり、抽象画あり、日本画あり、彫刻あり、なんだろこれ?あり、さすがにそれぞれ個性があってなかなかの作品たちである。
現代アートといっても、まるで知らないので、どうだろうと思うが、自分の好みでいくつか記録にとどめておこうかと思った。
(10年後、20年後にこれらの作家さんたちが、大家になっているといいですよね)
山田康平
この雑誌の表紙を飾った絵が山田の絵である。この雑誌を手に取ったきっかけだから、記録しないとね。
作品は、よくあるような抽象画のようであるが、ちょっと違う。色の色感も独特だし、なんというか、色のにじみ?いやちょっと違うな、色のむら?それもちょっと違うような気がするが、色と色の境目の微妙な感じがあって、全体的に美しくい。記事で山田さんは「厚みのある色」という言葉を使っているが、そのような試みが成功しているように思った。
横山奈美
上の文章での「ネオン管(?)あり」と言うのが横山の作品である。なるほど、ネオン管?そうでねぇ~、と思って、記事をみると、
暗がりに浮かぶ光が、誰もが知っているシンプルな言葉を放つ。写真と見紛う鮮烈なイメージは油彩による絵画だ。(抜粋)
って書いてある。え??絵なの??と思った。
何でも、横山さんは、他者の書いたフレーズをもとにデザインしたネオン管をモチーフにして絵を描いているのだそうだ。記事では「ネオン管の肖像画」という言葉を使っている。
作品自体もなかなか良いのだが、なんというか?その複雑な工程は・・・・・なに?って、気になったのです。
岩名泰岳
岩名の絵を見て、どことなくだが、ジョルジョ・デ・キリコを思い出した。そんな色使い、そんな具象のような抽象のような感じ、そんな・・・・・(えんえんとつづく)・・・・・。
記事を読むと岩名さんは、自身の故郷である三重県の過疎地で暮らし、そういったことも活動の一部となっていて、
「人が減り、空き家や放置された畑などが増えているのは僕にとっての島ヶ原の現実ですが、それは日本の地方で起きている現実でもあります。生活の中でアートから得られる知恵が、共同体で分かち合われ、社会と接続したアートの表現をこれからも続けたいとおもっています。」(抜粋)
といっている。このような、問題意識が、これらの絵に独特の静けさをもたらしているのでは!・・・・・・とか思ってみた。
中村桃子
中村の作品は、独特な感じの人物画(肖像画)である。こういう絵は、なんというか、好き嫌いというものでして、ボク的には・・・◎かな?
眼の書き方、無表情な表情(あ、無表情だけでイイのかな?先生ごめんなさい)そんな、なんやかんやが気に入りました。
菅原玄奨
菅原の作品は、彫刻である、人間がスッと立っている。彫刻といってもロダンのような力がいっぱいの造形でもなく、また超絶技巧の・・・・ホント!そのまんまのような彫刻でもなく、アニメから出てきたようなモダンな造形となっている。
っで、特筆したいのが、その色、これは・・・なんだろ粘土色?(記事では、「中間色のグレー」と書いてあるな。まぁそうだね)。
そのような色と彫刻の質感が合わさって現代的な印象を強く与えているような感じ。記事も、現代のデジタル的なことの影響を感じさせる内容となっていた。
外山和洋
外山の作品は、まずは見た目のインパクトですね。雑誌の写真を見て、・・・・・なんか?青と黄色のフェルトで作られた穴だらけのツボがあるな?と思った。でも、材質を見ると、銅、ステンレス、アルミニウム、金箔とある・・・・この色は、金属を薬品で変色させたものらしい。
記事を読むと、これは溶断機で金属を切った時に飛び散る液状の金属をこの半球状の型(ツボ??)に吹き付けたとある・・・・これが、この質感なのですね。
池田将英
池田の作品は、なんだろ、宇宙から飛んできた隕石のような造形である。そこで記事を読むと…これは何と螺鈿であった。
「『サイバー螺鈿(らでん)』とも呼ばれるミクロン単位の超絶技巧で、地球外高度知的文明の産物や、超古代文明の遺物を想起させるような池田くんの作品は、デジタルのスピードや解像度に深くエンゲージすることに慣れ、その基準の中でしか価値を測れなくなっている現代人のパースペクティブを逆転させて、いま一度、物質としての魅力や奥深さへと立ち返らせる強い力をもっています」(抜粋)
なるほどなるほど、そういう作品ですね。
早くも話題の展示が続々、2025年の重要ニュース
2025年の重要ニュースというコーナーに、「横浜美術館リニューアルオープン」って記事があった。横浜美術館(URLはココ)って?遠い昔に何度か行ったことがある。たしか?「いったん外に出る方は“もぎり”にお声をおかけください」的な案内表示があったような記憶がある。「もぎり」?って・・・・・正式な名前なのね?って不思議に思いました。
リニューアルオープンを期に『おかえり、よこはま』展をやっているらしいです。
また、今度行ってみようかね?、「もぎり」も気になるしね。
(連載) ART BOOK CINEMA MUSIC DESIGN
連載の「ART BOOK CINEMA MUSIC DESIGN」にポール・オースターの『4321』の書評があった。オースターについては、ファンということでもないが、『冬の日誌/内面からの報告書』を先日読んだばかりである。
そしてポール・オースターは2024年に77歳で亡くなったと書かれている。その遺作が『4321』ということだ。(亡くなったことを知らなかった。)
アーチー・ファーガソンという作家志望のユダヤ系の少年の成長物語であり、・・・・・(中略)・・・・・ひとりの人間の人生にも、ひとつの国の歴史にも、いくつかの分岐点がある。もしあの時、違う人生を生きていたら、まったく違ういまを生きていたかもしれない。ほんのわずかな違いでありえたかもしれない4つの人生。(抜粋)
こう書かれると、オースターの人生として可能性があった4つの人生が書かれているのかな?と思わずにいられないが、どうだろう?気になる。
問題は、二段組800ページの超大変・・・いやいや大長編ということ。そして、7150円という破格・・・いやいや価格ですね。
関連図書:ポール・オースター(著)『冬の日誌/内面からの報告書』、新潮社(新潮文庫)、2024年
目次
【特集】
次世代作家を一挙に紹介!
2025年に見るべき現代アート
いま注目すべき、新世代作家たち
Calligraphy 新城大地郎
Painting 山田康平/横山奈美/中西 伶/キーニュ/岩名泰岳/くらや えみ/品川 亮/中村桃子/大和美緒/川人 綾
Photography 遠藤文香/小林健太
Sculpture 丹羽海子/菅原玄奨/谷中佑輔
Crafts 西條 茜/外山
MediaArt 山内祥太
Installation 玉山拓郎/渡辺志桜里/ビエン/菊池虎十/奥村美海
アート界の目利きに訊いた、見逃せない若手作家たち
選者:長谷川祐子(金沢21世紀美術館 館長)
選者:天野太郎(東京オペラシティアートギャラリー チーフ・キュレーター)
選者:鷲田めるろ(十和田市現代美術館 館長)/選者:保坂健二朗(滋賀県立美術館ディレクター)
選者:矢作 学(森美術館アソシエイト・キュレーター)
俳優・板垣李光人、渋谷の中心で現代アートに浸る
“わからない”を脱却せよ!
アーティストから学ぶ、「現代アートの見方」3講座
1限目 彫刻 教える人:小谷元彦 彫刻家
2限目 写真 教える人:小山泰介 写真家
3限目 ストリートアート 教える人:松下 徹 アーティスト
美術館&ギャラリーに聞く、アート鑑賞と“買い方”の作法
早くも話題の展示が続々、2025年の重要ニュース
いまこそ注目したい、最新ギャラリー&美術館
ノナカ・ヒル京都/鳥取県立美術館
2025年上期に向かうべき、芸術祭&アートフェア
高橋文哉が描く、 ルイ・ヴィトンの多様性
異素材を組み合わせた、フェンディの新たなコラボ
ヴァン クリーフ&アーペルが紡ぐ、
ダンスの創造性と未来への架け橋
小山薫堂率いる「湯道」が、雲仙市にて湯道文化祭を開催!
(連載)
HEADLINER
エースをねらえ
WORLD UPDATE
はみだす大人の処世術 小川 哲
並木教授の腕時計デザイン講義
創造の挑戦者たち
ART BOOK CINEMA MUSIC DESIGN
ARCHITECTURE FILE
白モノ&黒モノ 家電コンシェルジュ
グルーミング研究所
プロの自腹酒
New & in t he N ews
東京車日記
小山薫堂の湯道百選
次号予告
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